1/35 タミヤ アメリカ M4シャーマン戦車 (初期型)& 1/35 トランペッター アメリカ海軍 上陸用舟艇 LCM(3)

「ノルマンディー上陸作戦」
2010.05 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★★☆
ノルマンディー上陸作戦とは1944年6月6日第二次世界大戦における連合軍のフランス・ノルマンディー海岸への上陸作戦で、ナチス・ドイツによって占領された西ヨーロッパへの侵攻作戦です。
最終的に、300万人近い兵員がドーバー海峡を渡ってフランス・コタンタン半島のノルマンディーに上陸しました史上最大の上陸作戦で、連合軍を勝利に導いたシャーマンは攻撃力・機動力ともに優れ、信頼性・量産性の高さといった実用性まで第二次世界大戦のあらゆる戦線でアメリカ軍主力戦車として活躍したのです。

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製作過程

製作のきっかけは模型店で見つけた1/48スケールの上陸用舟艇のボックスアートでした。 それからネットや模型店を渡り歩き、ようやく1/35スケールの上陸用舟艇を見つけました。ボックスアートを参考にノルマンディー上陸作戦をイメージし、シャーマンやアメリカ兵を買い揃えました。 オマハ・ビーチにおける「ブラッディ・オマハ」(血まみれのオマハ)と呼ばれているノルマンディー上陸作戦を再現したいと思います。
今回は ①経年変化による錆と重量感を表現した上陸用舟艇 ②戦場に初めて投入されたと見える控えめなウエザリングのシャーマン ③史上最大のフィギュア製作数 ④3作連続海面ジオラマ!  総仕上げとしての海面表現 をポイントにして製作をしていきます。
1.イメージ
シャーマン
  1. 今回使用する主なキットは以下のとおりです。
    • 「1/35タミヤ アメリカ M4シャーマン戦車 (初期型)」
    • 「1/35トランペッター アメリカ海軍 上陸用舟艇 LCM(3)」
    • 「1/35タミヤ U.S.コンバットクルーセット」
    • 「1/35タミヤ アメリカ歩兵 G・Iセット」
  2. 「トランペッター アメリカ海軍 上陸用舟艇 LCM(3)」のボックスアートをほぼ忠実に再現。
  3. 疲労感たっぷりの上陸用舟艇と卸したてのシャーマンとのウエザリング塗装の対比を表現。
  4. 活気あふれる多数のアメリカ兵。
  5. 2枚の海面プレートを組み合わせたベース。
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2.組み立て(上陸用舟艇)
シャーマン
  1. まずはシャーマンではなく、上陸用舟艇から組み立てます。これはシャーマンの組み立て前に上陸用舟艇との納まり具合を確認するためです。
  2. トランペッターのキットは初めてですが、素材が柔らかく、ゲート処理に違和感を感じました。
  3. 組み立てはサクサク進みますが、エッチングパーツやロープなどの付属品がある巨大なキットといえ、フィギュアもないこの内容で7,000円はかなり割高なキットです。
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3.組み立て(シャーマン)
シャーマン
  1. 組み上げ前にシャーマンを上陸用舟艇に乗せましたが、メーカーの違いのため横幅はキチキチです。
  2. 上陸用舟艇のボックスアートのシャーマンに習い、車両前面の装備品や側面の増加装甲やサンドシールドは取り付けない仕様で組み立てます。主砲はフィニッシングペーパーを使って丁寧に仕上げます。
  3. シャーマンは小さく、部品点数も少なく、作り応えとしては物足りません。また、オプションパーツの取り付けをやめたとはいえ、かなりの余剰パーツが出ます。これはシャーマンの別仕様との共用パーツが付属しているためではないでしょうか。こちらも3,400円とはかなり割高なキットです。
  4. キャタピラは車両下部のウエザリング後に取付。
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4.塗装1~基本色~(シャーマン)
シャーマン
  1. 下地としてのサーフェイサーは今回グレーにします。
  2. 説明図では基本色は当然オリーブドラブの指定ですが、ボックスアートに近いNATOグリーンをスプレーしてみます。
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5.塗装2~ウエザリング1+デカール~(シャーマン)
シャーマン
  1. タミヤのキットはクラックに強いため、エナメル溶剤で薄めたオリーブグリーン+フラットブラックでスミ入れします。いつものブラウン系ではなく、ここは基本色に近いオリーブグリーンがしっくりきました。
  2. 車両下部は薄めたフラットブラウン+フラットブラックでウォッシングします。
  3. デカールもボックスアートを参考に貼ります。
  4. 「Mr.スーパークリアーつや消し」を吹きます。
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6.塗装3~ウエザリング2~(シャーマン)
シャーマン
  1. 車両下部はブラウンのパステルで、車両上部はやや白っぽくするため、白のパステルでハイライトを意識して軽く砂ぼこりっぽくします。これで落ち着いた色調になります。
  2. 仕上げのチッピングとドライブラシをフラットアルミで行います。
  3. 車両後部に装備品を取り付けます。
  4. 仕上げは延ばしランナーでアンテナを取り付けます。
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7.塗装~ウエザリング+デカール~(上陸用舟艇)
シャーマン
  1. Mr.カラー RLM76ライトブルーを基本色にスプレーしましたが、グリーンが強く、修正が必要です。
  2. 薄めたフラットブラウン+フラットブラックで錆と経年変化を意識してスミ入れします。
  3. デカールはボックスアートを参考に貼ります。
  4. アクリルガッシュのブラック・ブラウン・グレーでウエザリングを施します。
  5. 最後に白のパステルでハイライトを意識して、塗装の剥がれを表現します。
  6. 仕上げのチッピングとドライブラシをフラットブラウン+フラットアルミで行います。
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8.ディテールアップ
シャーマン
  • シャーマンにストックしておいた装備品も追加し、最後はロープに見立てた裁縫糸で縛り付け。
  • 浮き輪の位置を他メーカーキットを参考に移動。
  • 装備品としてジェリカン・ドラム缶・弾薬箱・バックなど、ストックから上陸用舟艇に取付。
  • キット付属のロープとは別に太い綿糸をダークイエローに塗装して救命用ロープとして追加。
  • 国旗をパソコンで作成し、金属線で固定。
  • 海岸線の防衛に多用された上陸用舟艇付属のバリケードを製作。
  • かもめをタミヤ「動物セット」から加工。
  • 排水口下に水あかを描き、噴き出す水をクリアーパーツの延ばしランナーで表現。
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9.フィギュア+アクセサリー
シャーマン
  1. 「1/35タミヤ U.S.コンバットクルーセット」「1/35タミヤ アメリカ歩兵G・Iセット」から15体製作し、最終的に13体を採用しました。史上最大!
  2. 銃や各セクションにフィットできるようにフィギュアの手足を固定し、接着します。
  3. 下地としてのサーフェイサーを吹きます。
  4. 塗装は上半身からバフ・フラットアース・フラットブラウンで筆塗りしていきます。
  5. 薄めたフラットブラウンで3体の髪の毛の生え際や服の影、しわを付けていきます。
  6. 「Mr.スーパークリアーつや消し」で仕上げ。
  7. 手持ちの双眼鏡と真鍮線で作ったストラップを2体のフィギュアに取り付けます。
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10.ベ-ス1
シャーマン
  1. 全長550mmに対応できるのは青島文化教材社の 大型ディスプレイケース №1 大型デコトラ用 W550でした。楽天で2,650円(送料別)で購入。
  2. ベースはタミヤ「海面プレートA」を2枚を組み合わせます。
    べースに大穴を開け、斜めに上陸用舟艇を傾いた位置でセッティングします。
    海面・・・裏側からレーシングブルーをグラデーションを意識してスプレーし、水のキラキラ感を表現するために裏側からアルミホイルを貼ります。
    砂浜・・・サーフェイサーを吹いた後、木工用ボンドを霧吹き、ドフィックスのカベ補修材を茶こしで蒔きます。パステル(黄土色)を茶こしで蒔きます。ベース側面をダークイエローで塗ります。
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11.ベ-ス2+背景パネル
シャーマン
  1. 2枚の海面プレートの繋ぎ目を紙粘土で埋め、さざなみや水しぶきを表現します。
  2. 粘土周辺をさらにクリアーブルーを混ぜたシリコン(クリアー)とフラットホワイトを混ぜたシリコン(クリアー)でグラデーションを付けます。
  3. モーリン社製のスノーパウダー(市街地の雪)+ジェルメディウム、液体ゴム(クリア)を水しぶきとして表現します。
  4. ボックスアートそのままに四つ切画用紙に水彩画を描きます。白・青・灰・茶でノルマンディー上陸作戦当日のどんよりとした天候を薄く描きます。
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12.仕上がり
シャーマン
  1. 上陸用舟艇の前部乗降用ハッチをベースに固定し、ワイヤーロープを取り付けます。
  2. シャーマン、フィギュア、かもめを設置します。
  3. 砂浜や海面に石や砂利、上陸用舟艇付属のバリケードを設置します。
  4. 自分で描いた背景パネルを両面テープでディスプレイケースに貼ります。
  5. アオシマ社製のディスプレイケースのふたをしたらいよいよ完成! 
製作後記
AFVモデラーなら、誰もが想い描く「ノルマンディー上陸作戦」に挑戦!
定番のシャーマンなど戦車を載せた装甲戦車回収車やドイツ軍のハーフトラック 戦車運搬車などの大型キットはタミヤにもありますが、ジオラマとしてはやや躍動感に欠けます。 上陸用舟艇から出撃するシャーマンと海面ジオラマとの組み合わせなら、コストを懸けて大型ジオラマに挑戦する価値あり!と判断しました。今回の製作費用は18,000円! しかし、上陸用舟艇もシャーマンもコストパーフォーマンスには大いに不満がありますが・・・。
仕上がりとしてはくたびれた上陸用舟艇と控え目なウエザリングのシャーマンとの対比は狙い通りでした。特に上陸用舟艇は基本塗装がイメージと合わず、エナメル塗料やアクリルガッシュ、 パステルなど重ね塗りを経て仕上げました。
また、ボックスアートへの忠実度を重視し、説明図を無視したシャーマンの組み立てや塗装、デカール、アクセサリーの追加に手書きの水彩画背景パネルなど、ディテールアップにも注力しました。 ベースについては舞台の大きさにどう対処するか、素材はスタイロフォームやなみいたくん、紙粘土などを検討し、悩みました。しかし、このジオラマがぴったり納まるアオシマのディスプレイケースを 見つけたことが完成に向けて一気に後押しをしてくれました。

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