1/35 アメリカ 155mm自走砲 M40 ビッグショット

「残雪のビッグショット」
2018.4製作 / お気に入りランク:★★★★☆  レア度:★★★☆☆
戦車は歩兵や砲兵との協力が不可欠と考えたアメリカ軍は第二次世界大戦中にM12自走砲の成功から、新型で破壊力のある155mmカノン砲搭載を検討し、強度面からM4中戦車の車体流用へと開発が進んで「155mm自走砲M40」として制式化されたのです。試作1号車はその大口径自走砲から”ビッグショット”のニックネームで車体側面にも描かれていたほどです。
新型の155mmカノン砲を搭載する8名の乗員は、オープントップのうえに車体に腰あたりまでの装甲版と小さな砲坊盾しかなかったにもかかわらず、遠距離からの敵陣地への間接射撃が任務だったために問題とはならなかったようです。
M40は大戦末期生産が開始されたものの、大戦終結によって418輌で生産終了となり、試作車輌がヨーロッパ戦線に投入された後、朝鮮戦争では山岳地帯から遠距離の北朝鮮軍陣地に対する関節射撃任務に配備されたのです。

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製作過程

1960年代に発売されていた「1/21 M40 ビッグショット」は1/21というビッグスケールの存在感や再現されたオープントップの戦闘室など、当時タミヤを代表するキットでありましたが、 タミヤ創業70周年記念の節目となる2016年に1/35スケールとしてこのキットが発売されました。 発売当初から興味はあったものの、高価なキットに購入をためらっていました。
そんな中、AFVキットとしては数年ぶりの製作に取り掛かり、他の海外メーカーのキットに挑戦していたのですが、完成目前の組み上げでパーツが噛み合わない事象が多発し、完成を断念することとなりました。失望と「やはりA.F.V.はタミヤだな・・・」と痛感する中、冷却期間をおいて本キット製作となったわけです。ちなみに、製作を断念したキットは本キットのベースでもあるM4トラクターというのは全く皮肉なものです。
さて、今回も ①可能な限り組み立て、塗装後にを取り付け ②ウオッシングを中心のウエザリングに加えて、凍結した車体の表現 ③フィギュアを忠実に再現 ④雪景色の表現 ⑤監視所を使った高低差のあるジオラマ をポイントにして製作をしていきます。

1.イメージ
M40ビッグショット
  1. 1951年4月、朝鮮戦争時のアメリカ軍第937野戦砲兵大隊C中隊の残雪での戦闘という独自解釈で製作します。
  2. 箱を開けてみるとガンプラに慣れていると物足りない部品点数です。組み立てには瞬間接着剤も必要そうです。
  3. ウオッシングを中心としたウエザリング塗装に加えて凍結した車体表現も丁寧に行います。
  4. 残雪と車両に舞い落ちた雪の表現にも注力します。
  5. 監視所を使った高低差のある情景を表現します。
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2.組み立て1
M40ビッグショット
  1. タミヤならではのパーツのフィット感を楽しめるかと期待していましたが、極小パーツが多数あり、思いのほかにストレスが溜まります。エッチングパーツはもちろん、パーツの破損が相次ぎ、瞬間接着剤を多用します。
  2. 別売りでタミヤからはディティールアップパーツとして「1/35 アメリカ M40 自走砲 ビッグショット メタル砲身セット」が発売されていますが、155mm砲上部にはカバーのようなパーツがあり、合わせ目がほぼ隠れてしまいます。高額な別売りキットを買う必然性は感じられません。モデラーとてはパーツの合わせ目消しに挑戦するべきでしょう。
  3. キューボラ、キャタピラ、車体上部部品、リアゲート、ワイヤーロープ、チェーン、砲台、そしてクリアパーツなどは後付けして組み立てます。
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3.塗装1
M40ビッグショット
  1. サーフェイサーはウオッシングで色が沈むことを前提に、明るいホワイトにします。
  2. さらに車体の基本色は指定色のオリーブドラブ2ではなく、NATOグリーンを選択します。これはウオッシングのブラウンの上塗りを想定し、明るい緑を生かすためです。
  3. 後付けに回した車体上部部品を中心に筆塗りします。
    • 転輪→フラットブラック
    • キャタピラ・砲尾→ガンメタル
    • 車体上部部品→ガンメタル・レッドブラウン
    • 前照灯・揺架→シルバーリーフ
    • シート→カーキ
    • リアパーツの一部→フラットブラック、レッド
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4.ウエザリング1&組み立て2
M40ビッグショット
  1. 「タミヤ スミ入れ塗料 (ブラウン)」 でエッジを中心にスミ入れを行い、ハイライトとなる車体表面はグリーンが沈まないようにうすめ液で希釈してウオッシングを施します。
  2. 後付けに回していた車体上部部品やキャタピラなどのパーツを組み付けていきます。ここらあたりから、ようやく模型製作の醍醐味が味わえるようになってきます。
  3. そして、最大の難関であるリアゲートのワイヤーロープやチェーンを”張り”を意識ながら組付けます。予想していたとはいえ、取り付けにかなりの時間を要しましたが、結果的にリアゲートを展開状態にすると、そのほとんどは隠れてしまいました。
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5.デカール&組み立て3&ウエザリング2
M40ビッグショット
  1. マークソフターを使ってデカールを貼ります。
  2. そしてそして、最終の「155mmカノン砲」の組み立てなのですが、ここでもパーツのフィット具合に苦しめられます。平衡機や砲身の差し込みに関する説明図が不親切なために、砲身が可動しないのです。いったんバラして、パーツを削り、再塗装を強いられました。
  3. 「Mr.スーパークリアーつや消し」を吹きます。
  4. ドライブラシはいつものフラットアルミではなく、より輝くシルバーリーフを掛けて金属感を強調します。
  5. さらに後回しにしていたキューボラや前照灯のクリアパーツをタミヤセメント(流し込みタイプ)で接着します。
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6.フィギュア
M40ビッグショット
  1. 双眼鏡や砲弾などを持たせることを調整しながら、手足を接着します。
  2. サーフェイサー(ホワイト)を吹きます。
  3. 双眼鏡はフラットブラック、砲弾ラックはバフで筆塗りします。
  4. 顔や手はフラットフレッシュで筆塗りし、希釈したフラットレッドで肌に赤味を付けます。
  5. ヘルメットや服はカーキドラブで筆塗りし、「タミヤ スミ入れ塗料 (ブラウン)」 でしわの影を付けます。
  6. 砲弾の先端はMr.カラー ゴールドを吹き、砲弾用のデカールを貼ります。
  7. 「Mr.スーパークリアーつや消し」を吹きます。
  8. シルバーリーフでドライブラシを行い、オリーブグリーンでハイライトを付けます。
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7.ジオラマベース1
M40ビッグショット
  1. 今回からジオラマベースはスチレンボードからMDF(木質繊維を原料とする成型板、中密度繊維板)を使用します。
  2. ジオラマベースサイドをマットブラックで塗装し、乾燥後マスキングをします。
  3. 発泡スチロールで地面の起伏を作り、木工用ボンドで接着します。
  4. 紙粘土「Premier」を木工用ボンドで接着し、キャタピラ跡を付けます。
  5. 木工用ボンドを霧吹き、壁用補修材を蒔き、硬化を待ちます。
  6. キャタピラ後は油絵具のバーントアンバーを筆塗りし、残雪との差別化を描きます。
  7. フラットブラックやライトサンドを吹いて、影や地面を塗装します。
  8. モーリン社製の「スノーパウダーNo.512(市街地の雪)」を木工用ボンドを使った霧吹きと茶こしで雪の表現をします。仕上げにマニキュア用のラメパウダーでキラキラ感を出します。
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8.ジオラマベース2
M40ビッグショット
  1. 道端にはペットショップで購入した細めの「鳥の巣草」や「竹ぼうき」、100円ショップで購入したや「デコレーションパーツの小枝」を木工用ボンドで接着します。
  2. さらに100円ショップで購入した「ガーデニング用小石」や「麦飯石」を地面に木工用ボンドで接着します。
  3. 砂利をTOMIX「Nゲージ シーナリーバラストF・ミックス」で表現します。
  4. キャタピラ跡に画材用品の「ジェル メディウム」でウエット感を表現します。
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9.ウエザリング3
M40ビッグショット
  1. 製作済みの「1/35 ドラゴン アメリカ・M7 プリースト 初期型」のダメージ表現付きのデカールを参考にドライバーで、貼り付け済みのデカールを傷つけます。
  2. 車体にも雪が降り積もる場所に霧吹きで希釈した木工用ボンドを吹き、スノーパウダーやマニキュア用のラメパウダーで雪の表現をします。キャタピラは液体ゴム(クリア)を混ぜたスノーパウダーを擦り付けてウエット感を表現します。
  3. フラットホワイトでドライブラシを掛けて、凍結した車体を表現します。「155mmカノン砲」周辺は砲撃による熱を意識して除外エリアとします。
  4. 砲身の先端はフラットブラックでススを表現します。
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10.仕上がり
M40ビッグショット
  1. ジオラマベースの仕上げとして「1/35 イタレリ監視所」を設置します。
  2. フィギュア、装備品を車体に接着しますが、指揮官だけは作例に反して監視所に乗せます。
  3. HOBBY BASEのモデルカバースクエア(特大)にジオラマベースを乗せて、最後にM40を乗せます。
  4. ふたをしたらいよいよ完成!
製作後記

タミヤ創業70周年記念キットとして、その価格から期待をしていましたが、”作り易さ”というタミヤらしさを感じられないキットでした。一体させずに分割された極小、極細パーツが多く、瞬間接着剤に頼るところも多く、組み立てに非常にストレスを感じました。
一方、塗装については車体の指定色のオリーブドラブ2ではなく、ウオッシングを前提に考えてNATOグリーンを選択したことは正解でした。ウエザリングについても過去の経験を活かして、抑え気味の汚しを心掛けました。
久しぶりの雪のジオラマでしたが、スノーパウダーに加えてマニキュア用のラメパウダーを投入し、不規則なキラキラ感が3D的な立体感をもたらし、新たな発見となりました。

最後に、今回ジオラマベースをスチレンボードからMDF(140円)に変更しました。これは紙粘土や壁用補修材を接着することによってベースの”反り”の発生を避けるためにより強度を求めてホームセンターで購入したものですが、それでも”反り”が発生してしまいました。苦肉の策として塗装していたベースサイドの上をさらに黒の画用紙で囲むことになってしまったことが残念でした。

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