1/144 バンダイ HG MS-06量産型ザクⅡ+ビッグガン セット

ダリル「・・・俺の義足を笑ったな・・・ダリル・ローレンツ曹長だ。おまえを・・・いつも狙ってるぞ!」

2014.2 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★☆☆

ジオンサイドの主人公で「リビング・デッド師団」のエース、ダリル・ローレンツ曹長が搭乗するザクII。開戦初期の歩兵戦で両脚を失い、義足のダリルは連邦のイオ・フレミングと同じく小型ラジオをコクピットに持ち込み、ラブソングを口ずさむところから「機動戦士ガンダムサンダーボルト」の物語は始まるのです。
「リビング・デッド師団」に配備されたザクIIは大型化したバックパックと2基のサブアーム、動力パイプや各関節部へのシーリング処理が特徴的です。プロペラントタンクが取り付けられている長距離狙撃ビーム砲”ビッグ・ガン”との運用とセットで固定されるため、乗員は定期的に交代します。このビッグガンによって周辺宙域の障害物やデブリの数などを把握し、暗礁宙域〈サンダーボルト宙域〉においても正確な射撃が可能となったのです。

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製作過程

「機動戦士ガンダムサンダーボルト」シリーズのキットも連邦2機を製作し、いよいよジオンのMSに取り掛かります。それもド定番のザクなのですが、なんといっても長距離狙撃ビーム砲”ビッグ・ガン”との組み合わせが魅力的です。歴代のザクの中でも最高の完成度という声もモデラーから上がっています。
このシリーズの決め事としているウエザリングは前作の連邦のMSのチッピングでの手法とは異なり、下地にシルバーリーフを吹いてから機体色を塗装し、スチールウールで剥がすという「スクレイピング」技法を使い、筆塗りでは表現できない塗装の剥がれを表現したいと思います。また、これまで面倒で省略していたパーツの合わせ目消しもできるだけやってみたいと思います。

1.イメージ
機動戦士ガンダムサンダーボルト

HGとしては規格外の値段と中身の箱を開けると”ビッグ・ガン”の過剰に明るく、多種の色分けに抵抗を感じました。今回のポイントはいつものディテールアップとは異なるアプローチで挑戦します。

 
  1. 説明図に塗装手順や注意点を書き込み、付箋で仕分けメモを付けながら進める。
  2. パーツの合わせ目消しを接着剤とフィニッシングペーパーとサーフェイサーで行う。
  3. 下地にシルバーリーフを吹き、機体色をスチールウールで剥がす「スクレイピング」技法によるウエザリング。
  4. ”ビッグ・ガン”のカラーリングは独自解釈を考える。
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2.組み立て1
機動戦士ガンダムサンダーボルト

いつも以上に綿密にポイントを書き込んだ説明書をもとにできるだけ組み立てて塗装することにしますが、巨大な”ビッグ・ガン”や武器類を中心にパーツの合わせ目消しをできるだけ行います。
接合部に多めに接着剤を付けてから接着し、乾燥後フィニッシングペーパーで磨いてサーフェイサー、さらに今回ポイントの下地塗装としてのシルバーリーフを吹きます。

 

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3.塗装1
機動戦士ガンダムサンダーボルト

今回イロプラは機体色の薄い緑と”ビッグ・ガン”内部の薄い紫のみ生かし、その他は必要に応じてマスキングをしながら全塗装します。
①サーフェイサー(パーツの合わせ目消し)+シルバーリーフ+機体色と②シルバーリーフ+機体色の基本2パターンでスプレー塗装を進めます。

  • 機体装甲の濃い緑→NATOグリーン
  • 頭部内部、機体装甲の黒→セミグロスブラック
  • サブアーム、ランドセル一部、動力パイプ、関節シ-リング部、ザク・バズーカ、プロペラントタンク、大型ジェネレーター、ポリキャップ→ジャーマングレイ
  • ランドセル一部、ザク・マシンガン、グリップ→ガンメタル
  • バレル、タンク→ヘイズグレイ
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4.塗装2
機動戦士ガンダムサンダーボルト

可能な限り組み立てますが、このキットの特徴でもあるゴールドはマスキングをしながら発色も考えて筆塗りを進めていきます。
また、HGならではのイロプラの抜けの補正も必要です。

  • スラスター、関節の丸モールド、アンテナ、シール対応箇所(塗装前マスキング要)→Mr.カラー ゴールド
  • 大型ジェネレーター内部→シルバーリーフ
  • ヒート・ホーク一部、バレル内部→ガンメタル
  • 装甲の裏、関節のモールド、武器のグレーライン→ジャーマングレイ
  • 大型ジェネレーター外側一部→パープル
  • グリップ下のパイプ→レッド
  • ヒート・ホーク一部→レモンイエロー
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5.組み立て2
機動戦士ガンダムサンダーボルト
塗装が完了したら再び組み立てに取り掛かります。
このシリーズの特徴でもある関節シーリング部や動力パイプは前作同様いったん組み込んでしまうと布のような質感としわが表現しづらいため、先に作業を進めます。
サーフェーサーで下地塗装とパーツのつなぎ目を埋め、ジャーマングレイを吹き、フラットブラック+レッドブラウンを薄めてスミ入れ、つや消し、最後にパステルのホワイトをこすり付けます。
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6.ディテールアップ
機動戦士ガンダムサンダーボルト
ガンプラの定番ザクということもあり、これまでのノウハウを生かしながら、ディテールアップを進めていきます。
  • モノアイは1mmほど下部を削ったHIQ PARTSのVICドームを、”ビッグ・ガン”のセンサーやザク・バズーカ、ザク・マシンガンのスコープはウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアーピンク裏に銀のホイルシールを貼ったものを貼り付けます。
  • 頭部の支柱の内側を若干薄く削ります。
  • 左肩の装甲と関節シーリング部の質感を他と変えます。接着剤をたっぷり塗り、ハブラシで叩いてザラザラとした表面にします。
  • 装甲の内側はジャーマングレイで影を強調して立体感を持たせます。
  • 左右一体のフロントスカートは接続部を切断し、可動式にします。
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7.スミ入れ・デカール
機動戦士ガンダムサンダーボルト
 
  1. 組み立て前に濃いパーツは「ガンダムマーカースミいれ用<ブラック>」で、白いパーツは「ガンダムマーカースミいれ用<グレー>」でスミ入れを行います。
  2. HGにしては多いシールを貼っていきます
    シールドの”ZEON”のロゴは目立ち過ぎるので貼りません。
  3. ガンメタルのパーツを除いて各パーツごとに「Mr.スーパークリアーつや消し」を吹きます。
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8.ダメージ・ウエザリング
機動戦士ガンダムサンダーボルト
    
  1. 下地に吹いておいたシルバーリーフを浮かび上がらせるために100円ショップで購入した台所用のスチールウールでエッジを中心に擦って塗装の剥がれを表現します。
  2. エナメル塗料を薄めてウォッシングをしますが、ガンプラ特有のクラックを避けるためにエナメル塗料用の溶剤ではなく、ZIPPOオイルを使用します。機体はオリーブグリーンを、"ビッグ・ガン"はフラットブラウンをジャブジャブにしてウォッシングします。
  3. 仕上げとしてエッジの強調と傷を表現するためにフラットアルミで軽くドライブラシを行い、金属の剥がれを改めて表現します。
  4. 改めて関節シーリング部や動力パイプは白いパステルを筆塗りし、乾いた質感を出します。
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9.ビッグ・ガン
機動戦士ガンダムサンダーボルト
  
  1. 最終工程としておいたゴールドパーツを取り付けます。
  2. マスキング対応箇所であるゴールドとレッドを筆塗りします。
  3. ”ビッグ・ガン”の先端をフラットブラックでススを描きます。
  4. すべてのパーツを組み上げたらいよいよ完成です!
    今回クラックを恐れて、ウォッシングを避けようかとも思いましたが、予想外のパーツ全体の一体感と落ち着きが表現できました。
    大型ジェネレーターのマスキングもうまくきまってシルバーリーフが輝いています。
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10.ジオラマベース
機動戦士ガンダムサンダーボルト
  
  1. 原画のイラストからコロニーの残骸をイメージします。
  2. 発砲スチロール、ジャンクパーツ、スチレンボードなどの素材でコロニーの残骸を形作り、スチのりで取り付けます。この時ザクと”ビッグ・ガン”を設置し、足場をしっかりと掘りこみます。
  3. サーフェイサー(ホワイト)の白を基調としてヘイズグレイ、ジャーマングレイ、ガンメタルなどを吹いて立体感を付けます。
  4. 木工用ボンドを希釈したしたスプレーを吹き、白いパステルをまいて埃を描きます。
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11.エフェクトパーツ
機動戦士ガンダムサンダーボルト
  
  1. ビーム兵器の爆炎としてクリアーパーツを自作します。
    素材として100円ショップで入手したクリアーカラーのゴムボール、ビーズとビームサーベルやランナーのジャンクパーツを用意します。
  2. クリアタイプのシリコンを歯ブラシで、しぶきを描きながら素材に塗りつけます。
  3. クリアレッド、クリアオレンジ、クリアピンクで斑に塗装します。
  4. 仕上げに再度上からシリコンを塗りつけます。
  5. ビームサーベルやランナーのジャンクパーツを差し込み、ジオラマベースにスチのりで取り付けます。
  6. ジャーマングレイやイエローを軽く吹いた手芸用わたを周囲に配置します。
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12.仕上がり
機動戦士ガンダムサンダーボルト
すべてのパーツを組み上げ、”ビッグ・ガン”の先端にはHIQ PARTSのフルバーストソードをクリアーイエローで斑に塗装し、取り付けたらいよいよ完成です!
イメージ段階に長い時間を掛け、パーツの合わせ目消しや「スクレイピング」技法、ウォッシングなど様々な工程を経て完成すると満足感も格別です。特にパーツの合わせ目消しはなかな苦労しましたが、スチールウールによる「スクレイピング」技法との併用でうまく隠ぺいすることができました。
製作後記
1/144スケールのHGとは思えない密度の高い作品が完成しました。目玉の”ビッグ・ガン”は予想以上に大きく、独自解釈の配色も狙いどおりに仕上がりました。これまでありそうでなかったこの大型兵器を生み出した原作者の太田垣康男氏に拍手です!
今回初めてザクのモノアイにHIQ PARTSを使用しましたが、光が当たらなくてもは発光効果が充分得られました。また”ビッグ・ガン”はキットまんまのカラーリングではカラフル過ぎるためにヘイズグレイを主に使用しましたが、ジャーマングレイとガンメタルの中間色的な役割を果たしてくれました。パープルやレッドもいいアクセントを演じてくれています。
また、 ウエザリングについては前作までの連邦系MSとは全く異なるアプローチで行いましたが、AFVの製作手順にガンプラならではのクラック対策を施し、やり過ぎない汚し塗装を目指しました。心配していたウォッシングも控えめに行い、結果としてキット全体の色味を落ち着かせてくれました。仕上げのゴールドもウエザリングからマスキングしたことで一層輝きを放ち、タミヤにはないMr.カラー ならではの発色を見せてくれました。
久しぶりのジオラマ作品ですが、第一話2ページ目の印象的なシーンをベースにエフェクトパーツを追加して自分なりのディテールアップを図っています。また、後に発売される”サイコ・ザク”を追加できるようにアクションベースのスペースも確保しています。”ドム”、”グフ”、”ゲルググ”などジオン系のMSの発売が期待されます!

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