1/144 バンダイ HG MSZ-008 ZⅡ

 
2023.10 製作
お気に入りランク:★★★★☆  レア度:★★★★★

MSZ-008 ΖIIはエゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社の共同開発プロジェクトでZ-MSV(モビルスーツバリエーション)に登場する可変試作MSです。

MSZ-006 Ζガンダムの発展機にあたる機体で、複雑だったウェイブライダーへの可変機構を簡略化し、MSA-005 メタスの可変機構を取り入れることで生産性や操縦性を向上させています。
専用装備のメガ・ビーム・ライフルはウェブライター形態時に機体各部のジェネレーターと直結する構造となっており、エネルギー・チャージを行うことによってハイパー・メガ・ランチャーに匹敵する威力を得ていたものの、財政が逼迫していたエゥーゴの意向によって多機能かつ高性能なMSZ-010 ZZガンダムの開発が優先されたのです。
本機の開発は一時凍結されたたものの、完成した試作機は第一次ネオ・ジオン抗争時にアクシズ侵攻作戦で使用され、そのデータから少数の機体が生産されたようです。なお、パイロットは中隊隊長のキリシマ大尉で、メッチャー・ムチャから攻略作戦の要と期待されて激戦を繰り広げました。
なお、ΖIIの構造やコンセプトは量産機としてRGZ-95 リゼルに引き継がれたのです。

Photo Gallery


製作過程

ゲームをやらない私にとってこのキットを製作するまではZⅡの存在を知りませんでした。コロナ渦のガンプラブームで入手困難な中、YouTubeモデラーのキットレビューを見て興味を持ちました。しかし、ガンダムベース福岡の再販日での購入機会を逃して後悔していたところ、幸運にも近所の家電量販店で本キットを見つけて購入に成功しました。
ゼータガンダムと言えばMSのデザインとしては好きな機体なのですが、ガンプラとしては私の中で史上最低の烙印を押した「1/144 バンダイ RG MSZ-006 ゼータガンダム」のイメージがあり、後に「1/144 バンダイ HG MSZ-006 ゼータガンダム〔U.C.0088〕」をリベンジ作として製作しました。
果たしてこのZⅡはゼータガンダムキットのマイナスイメージを払拭してくれるでしょうか。

 

1.イメージ

ゼッツー
  1. 主役機のゼータガンダムよりカッコ良く見えるボックスアートを見ると製作意欲が湧いてきます。余剰パーツの出ない新規造形パーツを確認すると、知名度の低い派生MSながらも本キットへの開発者の意気込みを感じます。
  2. 仮組みを行って後ハメ加工とパーツの合わせ目消しの箇所をしっかりと検証します。
  3. 装甲裏をジャーマングレイで塗装して質感をアップします。
  4. 肉抜き穴が数か所ありますが、装甲裏の塗装かエポキシパテで埋めるパーツかを適宜判断します。
  5. イロプラ漏れを検証して付属のマーキングシールと追加塗装を併用して補完します。
  6. グレー一色となっている武装類も全塗装します。
  7. RG風のマーキングで情報量をアップさせます。

2.仮組み

ゼッツー

いつもはパーツの破損や効率性を重視して仮組みを行いませんが、パーツの合わせ目やイロプラ漏れを検証するために仮組みしました。
ブルーが際立つ機体ですが、シャープな印象でこの段階でも既に期待感が高まります。
ディテールアップや追加塗装ポイントも取扱説明書に書き込んでいきます。

3.後ハメ加工

ゼッツー
  • 肩部装甲の内部の丸モールドの一部を差し込み口として削り、差し込む側の腕部の丸モールド突起部を削って後ハメ加工を施します。
  • 膝部の基軸パーツの丸い穴を削ぎ落し、差し込み口を作って後ハメ加工を施します。
  • ビーム・ライフル、クレイ・バズーカのグリップの丸い穴を差し込み口として削って後ハメ加工を施します。

4.パーツの合わせ目消し

ゼッツー

仮組みによってパーツの合わせ目消しの必要箇所を検証し、段落ちモールドを併用しながら柔軟に判断するものとします。
また、パーツの合わせ目消しが困難な箇所はランナータグを移植する手法にもチャレンジしてみます。
そのほかにパーツの肉抜き穴についても必要に応じて判断して埋めるものとします。
(取扱説明書順に検証を進めます。)

  1. 頭部は内部パーツの後ハメ加工は行わずに組み上げてパーツの合わせ目消しを行います。
  2. 胴体部サイドはパーツの合わせ目消しを行わずに段落ちモールドとして対応します。
  3. 背面の青いフィンに肉抜き穴がありますが、これは裏面の塗装に留めて肉抜き穴を埋めることは見送ります。
  4. 肩部装甲、腕部パーツの合わせ目消しを行います。
  5. 腕部・脚部のパイプ上下はしっかりと合わせ目が深いために瞬間接着剤でパーツの合わせ目消しを行います。
  6. 足裏周辺はパーツの合わせ目消しを行わずに段落ちモールドとして対応し、つま先の肉抜き穴も小さく見えないくなるためにスルーします。
  7. 脚部の青いフィンの肉抜き穴は目立つためにエポキシパテで埋めることにします。
  8. 脚部装甲前部のパーツの合わせ目はパーツを切り落として加工したランナータグを移植してはめ込みます。
  9. 膝部装甲はパーツの合わせ目消しを行います。
  10. スカート前部の青いパーツの肉抜き穴は目立つためにエポキシパテで埋めることにします。
  11. バックパックの青いパーツの合わせ目消しを行います。
  12. ビーム・ライフル、クレイ・バズーカのパーツの合わせ目消しを行います。
  13. 硬化後フィニッシングペーパーで400番→600番→1000番の順に磨き、最後にスポンジ研磨材で仕上げます。
  14. それでも合わせ目消しが甘い箇所は瞬間接着剤をパテ代わりに塗り付けて硬化の時短のためにアルテコ「瞬間接着剤用硬化促進剤 スプレープライマー」を吹いてヤスります。

5.塗装

ゼッツー

今回は基本全塗装で進めます。
イロプラの薄いグレーの装甲色はガンダムとしてはどうも違和感を感じます。GUNDAM FIX FIGURATIONのZⅡのカラーリングを参考に胴体部の上部はマスキングして薄いグレーを残し、脚部根元のパーツもイロプラを残し、それ以外の他の薄いグレーはすべてガンダムスプレーMSホワイトに塗り替えます。

  • 装甲色→ガンダムスプレーMSブルーZ
  • 胸部一部、腕部、膝部→ガンダムスプレーMSホワイト
  • ハンドパーツ、基軸パーツ、ポリキャップ、ビーム・ライフルの一部→ジャーマングレー
  • クレイ・バズーカ、ビーム・ライフルのグリップ→ジャーマングレイ
  • ビーム・ライフル→レーシングブルー
  • 肩部ダクト、ビーム・ライフルとメガ・ビーム・ライフルの先端→ガンメタル

6.ディテールアップ

ゼッツー
  • ブレードアンテナのシャープ化
  • スカート前部を分割して可動域を広げます。
  • 背面パーツの青いフィンの裏面、スカートの装甲裏→ジャーマングレイ
  • 肩部装甲ダクト→外枠(キャメルイエロー)、内部(ジャンクシールのブラック)
  • 背面パーツ上部先端→キャメルイエロー
  • ハンドパーツの根元の基軸が緩いために瞬間接着剤で肉増しします。
  • 腕部・脚部のパイプ→ガンダムマーカーEX<シャインシルバー>
  • バーニア外輪→ガンメタル
  • バーニア内輪→サーフェイサー(ホワイト)+ブライトレッド
  • ビーム・ライフルとメガ・ビーム・ライフルの動力パイプ→ガンダムマーカー<ガンダムゴールド>
  • メガ・ビーム・ライフルの一部→ジャンクシール(レッド)
  • ビーム・サーベルのエフェクトパーツが短いために長いジャンクパーツに差し替えます。

7.組み立て

ゼッツー
  1. ディテールアップ塗装が完了したらパーツを組み上げます。
  2. ここでパーツの合わせ目消しが困難だった脚部装甲前部に、ランナータグを加工して製作したパーツを瞬間接着剤で接着します。

8.スミ入れ&マーキング

ゼッツー
  1. クラック防止のために原色の濃いパーツは「ガンダムマーカースミいれ用<ブラック>」で、白いパーツは「ガンダムマーカースミいれ用<グレー>」を基本にスミ入れを行います。
    シャープなラインが欲しい箇所は「コピック マルチライナー【ブラック】0.03mm」やシャーペンで補完します。
  2. 付属のマーキングシールを貼ります。
  3. RGゼータガンダムのリアリスティックデカールを部品注文し、RG風のマーキングで情報量をアップさせます。
  4. 手持ちのジャンクのリアリスティックデカールで補完します。
    アナハイム・エレクトロニクス社の試作MSを意識して”AE”のロゴをさりげなく貼り付けます。
  5. ホイルシールを除外して「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹いてコーティングします。

9.仕上がり

ゼッツー
  1. つや消し前に後回しにしたホイルシールを貼り付けます。
  2. パーツの破損リスクを考慮して、そもそも興味のないウェイブライダー形態には変形せずに撮影します。
  3. 短過ぎてビーム・サーベルとしては使えないエフェクトパーツをビーム刃としてメガ・ビーム・ライフルの先端に取り付けます。
  4. 脚部はデザイン上接地性が良くなく、仁王立ちに向かないために100円ショップキャンドゥで購入した山田化学(株)「ディスプレイスタンド」に機体を取り付けます。
  5. すべてのパーツを組み上げたら、いよいよ完成!

製作後記

鮮やかな機体色とシャープなデザインは仮組みの段階から期待感を持たせてくれました。

後ハメ加工やパーツの合わせ目消しなどHGならではの工作が必要ですが、今回はパーツの合わせ目箇所を削ぎ落としてランナータグを移植する手法にも挑戦しました。
製作イメージ段階で違和感を感じた薄いグレーの装甲色はMSホワイトに置き換えて正解でしたし、武装類の全塗装もゼータガンダムやリックディアスを想起させてくれました。
また、同時期に製作したギャプランTR-5[フライルー]同様イロプラ漏れが課題でしたが、本キットもマーキングシールと追加塗装を柔軟に行い、RG風のマーキングと合わせて情報量をアップさせました。
普段は ビーム・サーベルにしか使わないエフェクトパーツをビーム刃として武装類の先端に取り付けたり、ガンプラとしてはレアな左手のライフル用ハンドパーツによって二刀流が実現し、これまでにないポージングを見ると苦労が報われた気がしました。

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