1/144 バンダイ RG RX-93-ν2 Hi-νガンダム

アムロ「ナイチンゲールッ!ここまでだな!シャアっ!」
2021.9 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★★★

小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」は1988年刊行、のちに漫画化もされました。未発表の映画用シナリオ第1稿とされたそのストーリーは映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の展開をなぞるものの、パラレルワールドとも言われ、設定やキャラクターなどが一部異なっています。
小説ではHi-νガンダムの表現はなく、νガンダムはアムロが基礎設計はするものの、サイコ・フレームはネオ・ジオンからアナハイム社への提供ではなくシャアが故意に放棄してアムロに鹵獲させています。そして、サザビーに相当するシャア専用MSがナイチンゲールとなっています。Hi-νガンダムとナイチンゲールは小説内に1枚ずつイラストがあるだけですが、いつしか小説版νガンダムはHi-νガンダムとして認知され、アムロとベルトーチカに子供がいたことも映画版との大きな相違点です。

そのほか映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」ではクェスの死がチェーンの攻撃によるものだったシーンが、本小説ではハサウェイの誤射によるものとされています。これは現在展開中の「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の小説がこの作品の歴史を引き継いでいます。

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製作過程

Hi-νガンダムはリリース発表時あまり興味はありませんでした。映像化もされておらず、機体の参考資料も少ない青と白の地味なツートンカラーのガンダムは購入を少し迷いました。しかし、RGであること、それもRG νガンダムの完成度が非常に高かったこと、新解釈によるディテールとシャープなフェイスに興味を持ちました。そして、プレミアムバンダイで「RG Hi-νガンダム専用ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー」の予約が先に取れていたことが本体を購入する強い動機となりました。
本キットの製作にあたっては、まず購入過程から語らなければなりません。発売日数ヶ月前の予約は、ネット上では即終了。その後は転売ヤーによる定価の倍以上の価格で予約注文が受付されていました。そして、発売日当日向かったのはRG ジオングを運よく購入できた某大型家電量販店です。9時10分に到着するも、既に整理券配布を終了したとのこと。前日の電話確認で整理券配布の案内がなかったことに憤慨しながら次に向かったのはガンダムベース福岡です。9時40分に到着すると、ここではまだ整理券が配布中でした。しかし、これはHi-νガンダムの購入を確約するものではなく、入場制限により受け取った整理券には"14時~14時30分"と書かれていました。そこから9時55分地元の小さな模型店に向かうも、20人ほどの列が出来ていました。ここでは無理だと諦めて、この日2つ目の某大型家電量販店に10時5分到着。そこでは整理券配布は終了したとのことでした。最後の望みでガンダムベース福岡の整理券を握りしめてに指定時間に向かったところ、定価でなんとか入手することが出来ました。ガンダムベース福岡では入場制限と一人一個販売とし、それなりに転売対策を講じており、この日17時頃まで入場出来た人は購入可能だったようです。ちなみに某家電量販店では転売対策として商品名や作品名、パイロット名などの質問をしていたそうです。今後人気のガンプラは発売日のたびにこういった現象が続くのでしょうか。

 

1.イメージ

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

νガンダムより厚みのあるボックスを開けると明る過ぎる青いパーツと淡過ぎる薄紫のパーツが目を引きます。パーツ点数としては、まあ想定内といったところでしょうか。

  1. Hi-νガンダムは主役機としては地味なカラーリングのため、ゴールドとシルバーの塗装でアクセントを付けます。この2色の輝きを最後のつや消しで損なわないためにもパーツの組み付けはすべて最後にします。
  2. 基軸パーツだけで3枚あるランナーが組み立ての大変さを予感させます。黒鉄色とジャーマングレイに塗り分けて重量感を表現したいと思います。
  3. ダクトやパイプ、丸モールドなど細部への筆塗りで密度を高めます。
  4. 定番のリアリスティックデカールの量はやや控えめです。ホイルシールは塗装同様パーツの組み付け後に貼り付けます。
  5. Hi-νガンダムと並行して、プレミアムバンダイで購入したハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーの製作も進めます。

2.組み立て1

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
  1. まずは基軸パーツから組み立てます。バリ取りやパーティングラインの処理を根気よく行いながら組み立てます。
  2. 取扱説明書とパーツを確認し、基軸パーツが単調な色分けにならないように装甲裏のパーツは黒鉄色、表面化する関節のパーツはジャーマングレイに塗装するよう仕分けます。
  3. 青と白、薄紫のパーツは成型色を生かします。これらのパーツはスミ入れとリアリスティックデカール、つや消しによる質感の変化に期待することとします。
  4. 組み立てながら、基軸パーツのダクトやパイプ、丸モールドの筆塗り箇所をチェックし、取扱説明書に書き込みます。
  5. パーツの合わせ目消しはほとんど必要なく、ビーム・ライフルの内装部のみ施します。

3.塗装

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

基軸パーツから塗装を始め、ゴールドとシルバーのパーツはつや消しを吹いた後に組み付けます。
今回の製作ポイントでもあるゴールドはタミヤかMr.カラーか悩みましたが、上品な質感のタミヤを選択し、シルバーはいつも使用しているシルバーリーフより、ややくすんだグレイ寄りのアルミシルバーを選択しました。

  • 装甲裏の基軸パーツ・アドヴァンスドMSジョイント→黒鉄色
  • 関節部の基軸パーツ→ ジャーマングレイ
  • 金色のパーツ→ ゴールド
  • 銀色のパーツ→アルミシルバー

4.ディテールアップ

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

参考資料が少ないガンダムであり、さらに本キットはメカニカルデザイナー柳瀬敬之氏による設定画稿を基に新解釈としてデザインされているため、オリジナルにこだわることなくディテールを追加することが出来ます。
さすがのRGは加工が必要なディテールアップ箇所は特に見当たりませんが、ひと手間かけてフィン・ファンネルの一部をマスキングすることによって塗装します。

  • RGにしてはブレードアンテナの先端が甘く太いため、シャープ化します。
  • ツインアイ周辺→フラットブラック
  • 頭部バルカン、各部シリンダー・丸モールド→ ガンダムマーカーEX<シャインシルバー>
  • スカート裏→ジャーマングレイ
  • 各部ダクト、丸モールド、フィン・ファンネルの一部→黒鉄色
  • 各部パイプ・バーニア→シルバーリーフ

5.スミ入れ&マーキング

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

本来ならここですべてのパーツを組み上げますが、今回はゴールドとシルバーの輝きを保つために手順を変えて、各部パーツごとにスミ入れとマーキング、そしてつや消しコーティングまで作業を進めます。

  1. クラック防止のために「ガンダムマーカースミいれ用<グレー>」でスミ入れを行い、一部はシャーペンで補正し、大創の「オイルライター専用オイル」ではみ出したラインを丁寧に拭き取ります。しかし、これでも2ヵ所ほどクラックが起きました。(涙)
  2. 従来のRGと比べて少なめのリアリスティックデカールを貼っていきます。ホイルシールは後回しです。
  3. 付属のツインアイのホイルシールは赤褐色で、ボックスアートのイエローとは大きく異なるものです。ゴールドのジャンクシールに置き換えます。ツインアイはマスキングしておきます。
  4. リアリスティックデカール貼りを終えたら、ゴールドとシルバーの以外のパーツにGSIクレオス「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
  5. つや消しから除外しておいたゴールドとシルバーのパーツを組み付け、ツインアイのマスキングをはがし、ホイルシールを貼ります。

6.組み立て2

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

RGなのでパーツのフィット感は抜群かと思いきや、バックパックとコンテナの接続部や脚部足首周辺のシルバーパーツの接続部に削り込まないとフィットしない箇所がありました。フィン・ファンネルのポロリが酷く、差し込み口に瞬間接着剤を塗り込むことで肉付けする加工が必要でした。
ゴールドとシルバーのパーツの輝きを保つために、それら以外の全パーツの塗装を終えてから、最終の組み立てに取り掛かります。

7.ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー1

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

このキットもネット予約に粘り強くチャレンジし、奇跡的に予約出来ました。
成形色にバリエーションを加えて塗装します。

  • 砲身→マットブラック
  • 冷却用ボンベ→黒鉄色
  • 丸モールド→ガンメタル
  • パイプ、リベット→シルバーリーフ
  • 基軸部、冷却用ボンベ外装→ジャーマングレイ

8.ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー2

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
  1. 基本塗装が終わったら、パーツを組み上げます。
  2. 冷却用ボンベは「ガンダムマーカースミいれ用<ブラック>」を、砲身外装は「ガンダムマーカースミいれ用<グレー>」でスミ入れを行い、一部はシャーペンで補正し、タミヤ「アクリル塗料 溶剤」で拭き取りを行います。
  3. リアリスティックデカールを貼り付けます。
  4. GSIクレオス「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
  5. エネルギー・チューブとして付属するリード線は細く、貧弱なため、太くて重量感のあるエーモン工業㈱の配線チューブに置き換えます。配線チューブに付属のリード線を通すことで、形状を調整することが出来ます。
  6. 砲身先端のスコープ(?)はシールのところをHIQ PARTSのルミドーム(レッド)に置き換えて取り付けます。
  7.  

9.仕上がり

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
  1. ディスプレイベースを2つ組み立てます。
    それぞれ「ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー用ベース」と「Hi-νガンダム用ベース」とうたっていますが、市販のアクションベースからの流用です。クリアーブラックであることがバリ取りを難しくさせるだけでなく、大量の余剰パーツが発生します。
    また、ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー用の先端は直接接続出来るHi-νガンダム専用のパーツはなく、ただ乗せるだけの安定性のない残念なキットです。
  2. Hi-νガンダム側の接続パーツ、射出ユニット、エネルギー・チューブを接続し、肩部ドッキングアームでHi-νガンダムに担がせたら、いよいよ完成!
  3. 巨大なハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーと巨大なバックパックを背負うHi-νガンダムを収納できるディスプレイケースを見つけることが、今回の製作中の悩みの種でしたが、保有していたディスプレイケース(メーカー不明)にピッタリ収納出来たことが、製作後最も感動した瞬間でした。

製作後記

Hi-νガンダムのカッコ良さはなんといってもシャープなフェイスです。フルアーマーガンダムと同じカラーリングに、後のΞ(クスィー)ガンダムに繋がる顎横の造形は歴代ガンプラの中で最もカッコいいと感じます。
一方でこの頭部の造形が影響して首周りのクリアランスが悪く、ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーやビーム・ライフルを保持した時の目線に合わせることが困難になります。その他にも一部パーツの組み付けの不整合やフィン・ファンネルのポロリなど欠点もいくつかありますが、「マルチリンク・ギミック」を搭載した脚部など、映像化されていない故に新解釈のデザインによる挑戦を感じとることが出来ます。
多くの上級モデラーは必ず仮組みをしてから塗装に入ると思いますが、私は基本的に仮組みを行いません。それによって後から補修に追われることもありますが、その理由としては組み上げたものを再度バラすことによって①2度手間で面倒くさい②取扱説明書の部品番号がわからなくなりやすい③パーツの紛失リスクを避けたい④パーツの破損リスクを避けたい⑤最後の組み立てで完成する喜びを味わいたい・・・などです。
RG Hi-νガンダムはガンプラとしては非常に素晴らしいキットなのですが、青と白のツートンカラーのガンダムは、アムロが搭乗する機体としてはやはり地味と言わざる負えません。ゴールドとシルバーのパーツの輝きを保つためにつや消しから除外し、組み立てを後回しにすることによって輝きを強調することが私に出来るささやかなディテールアップでした。これが仮組みを行わず、最後の組み立てで完成する喜びを味わえる瞬間でもありました。

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