1/144 バンダイ HG MS-09R リック・ドム
トクワン「ザクタイプよりはるかに使えます。」
お気に入りランク:★★★★★ レア度:★★★★★
リック・ドムはジオン公国軍の陸戦用MSドムを宇宙仕様に改修した量産機であり、リックは”宇宙用”の意味です。
ジオン軍は戦況の悪化によって次期主力MSの開発を補うためにリック・ドムの開発を始動させました。その過程でジオニック社の高機動型ザクII(R-2型)と競合したものの、ツィマット社のドムは熱核ロケットエンジンに換装することによって宇宙での運用を可能にし、コストパフォーマンスが評価されてリック・ドムの採用となったのです。
しかしながら、コンスコン隊の主力MSとして出撃したものの、3分も経たずに12機が撃墜されるなどやられキャラとして記憶に残ります。しかしながら劇中ではソロモンやア・バオア・クーの決戦でも多数が登場し、一年戦争末期のジオン公国軍の宇宙戦力を支えました。
ちなみにビーム・バズーカはムサイ級巡洋艦の主砲に匹敵すると言われたものの、エネルギーチャージに時間を要したため、試験的に運用された幻の兵器と呼ばれたようです。
機体の形状からカイ・シデンには”スカートつき”と呼ばれていたドムですが、劇中のドムとリック・ドムとの外見上の違いは特になく、スカート内部や脚部にバーニアが追加されているものの、特に描き分けはされていませんでした。その後MG化されたキットでは足裏のエアクッションが3器のロケットノズルになり、背部バーニアやリアスカートが大型化しているという解釈になっています。
Photo Gallery
製作過程
”ドムのキットにはずれなし!”MGドムのアップグレード版に続いてHGドムに初挑戦です。
これまでドムはこのサイトではMGの重力戦線イメージカラーVer. とHcm proを掲載してきましたが、旧キットでも1/144スケールは当時製作していなかったと思いますし、リック・ドムは初めての製作となります。
ドムと言えばやはり”ジェット・ストリーム・アタック”ですから、どうしても陸専用となるわけですが、ア・バオア・クー戦のジオラマを長期間での製作目標としているために選択式のこのキットではリック・ドムを選択します。
1.イメージ
2.組み立て1&後ハメ加工
一部を組み立てを始めつつも、後ハメ加工から始めます。
ネット上のモデラーの方々の手法を参考にして取扱説明書にチェックポイントを書き込みながら後ハメ加工を進めます。
- いつものようにポリキャップをジャーマングレーで塗装して、脚部基軸パーツから組み立てます。
- 基軸パーツの膝との接続部をカットし、後ハメ加工を施します。
- 股関節の内側パーツの一部をカットします。(バッサリ切断しても装甲で隠れます。) →この工程は結果的に不要でした。
- 腕部関節の丸モールドを切り落とし、パーツの合わせ目消しをしやすい様に後ハメ加工を施します。
- ジャイアント・バズとビーム・バズーカの持ち手の接続部をカットし、後ハメ加工を施します。
3.パーツの合わせ目消し&段落ちモールド
意外にもパーツの合わせ目が多いために事前の検証をしっかり行って作業に取り掛かります。
本キットで最も目立つパーツの合わせ目である胸部は瞬間接着剤でしっかりと接着し、サーフェイサーを吹いた後に塗装を行い、成形色がパープルのパーツはタミヤセメントで接着して時間を掛けて作業を行います。
- 本キットで最も目立つパーツの合わせ目である胸部は、まず基軸パーツをジャーマングレーで塗装してマスキング後、パーツを組み付けて瞬間接着剤をたっぷりつけます。
- 硬化の時短のためにアルテコ「瞬間接着剤用硬化促進剤 スプレープライマー」を吹きます。
- 成形色を生かしたい肩部内部、腕部関節、股間部、脚部スカート上部、ジャイアント・バズとビーム・バズーカのパーツの合わせ目にたっぷりとタミヤセメントを塗り付けて4、5日硬化を待ちます。
- 硬化後、それぞれのパーツをフィニッシングペーパーで400番→600番→1000番の順に磨き、最後にスポンジ研磨材で仕上げます。
- 胸部はサーフェイサー(グレー)を吹き、必要に応じてサフと研磨を粘り強く繰り返します。
- 最後に胸部はジャーマングレイで塗装します。
- 胸部のパーツの合わせ目の下部は段落ちモールド処理します。
- 腰部のパーツの合わせ目は段落ちモールド処理します。
- 膝部のパーツの側面に薄いモールドが入っているので、ハイキューパーツ「ラインスクライバーCS 0.15mm」でしっかりモールドを彫り込みます。
- 脚部スカート後面の上部はパーツの合わせ目消しを行いましたが、下部は段落ちモールドとして処理します。
4.塗装
機体色のパープル、頭部のレッドパーツ、ヒート・サーベルと持ち手は成形色を生かして、その他のパーツはすべて塗装します。
2022年後半の物価高騰からこれまでメインとしていたタミヤスプレーが大幅な値上げを行ったことから、今後は比較的価格が据え置かれたGSIクレオスの製品に移行していくことにします。
タミヤスプレーをジャーマングレイ、GSIクレオスをジャーマングレーと表記していますが、2社で色味がかなり違います。GSIクレオスのジャーマングレーの方がブラックが強い色味です。今後は部位に応じて使い分けたいと思います。
- 基軸パーツ、ビーム・バズーカ→ジャーマングレー
- ジャイアント・バズ→ジャーマングレイ
- 黒いパーツ→つや消しブラック
- バーニア内輪、レッドパーツ→ブライトレッド
- バーニア外輪・基軸部→ガンメタル
- 拡散ビーム砲外輪→レーシングブルー
5.ディテールアップ1
MGドムの成形色との違いである装甲内部のレッドをディテールアップとして塗装します。
装甲裏が黒いパーツには発色を上げるためにサーフェーサーを吹いて下地塗装します。
- 肩部のレッドはMGドム同様外装パーツとの接合部が不自然に途切れているため是正します。
肩部外装パーツの接合部が内側のレッドパーツと同色で繋がるようにフラットホワイト+ブライトレッドで筆塗りします。
- 黒いパーツの装甲裏とバーニアの内輪もレッドにするためにサーフェイサー(ホワイト)+ブライトレッドでマスキングしながら塗装します。
- パープルのパーツは直接レッドで筆塗りします。
- モノアイはウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアーピンク(3.5mm)裏に100円ショップダイソーのアルミテープを貼り付けて接続パーツを加工して取り付けます。
モノアイシールドのクリアーパーツを取り付けた時に干渉しないように基軸部をピンバイスで彫り込んでおきます。 - HGキットでは拡散ビーム砲にクリアーパーツが付属しないため、補う予定です。外輪はレーシングブルーで筆塗りしておきます。
- 足裏リベット、ビーム・バズーカのパイプ→ガンダムマーカーEX<シャインシルバー>
- 足裏モールド、ジャイアント・バズとビーム・バズーカのモールドと動力パイプ→ガンダムマーカーEX<ヘビーガンメタリック>
6.組み立て2
後ハメ加工が上手く噛み合うか確認しながら組み立てを再開します。パーツ点数は少なく、ポロリもないキットだと実感できます。
このキットの取扱説明書はカラーページも多く、機体解説も丁寧で、量産型ゲルググ同様選択式となっています。
モノアイの基軸パーツやシールドまで付属している点など、この時代のキットのコストパフォーマンスの高さを感じられます。
反省点としては一部過剰な後ハメ加工をした点です。
7.スミ入れ&ディテールアップ2
最終的にはウェザリング仕様にする予定ではありますが、Gallery撮影用のために一旦ガンダムマーカーで簡易にスミ入れをしておきます。これは機体色のパープルが無塗装で、クラック防止のためでもあります。
つや消しから除外したモノアイ、モノアイシールド、拡散砲ビーム、ジャイアント・バズ、ビーム・バズーカのスコープなどクリアーパーツやシールを各パーツに取り付けます。
- ジャーマングレイのパーツはガンダムマーカースミいれ用<ブラック>で、パープルのパーツは<グレー>でスミ入れします。
- レッドで塗装したバーニア内輪は「Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」でウォッシング気味にスミ入れをします。
- クリアパーツを除外して各パーツごとにGSIクレオス「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」でコーティングします。
- モノアイシールドを取り付け、頭部を完成させます。
- 拡散砲ビームは付属のホイルシールを貼り付け、ウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアー(4.5mm)をスチのりで貼り付けます。
- ジャイアント・バズとビーム・バズーカのスコープは付属のシールは使用せず、100円ショップダイソーのデコレーションシール(パール調シール)のピンクを貼り付けます。
- ビーム・バズーカの大型レンズにはウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアー(5.0mm)裏にセメダイン「ラピーミニ キラキラテープ」を付属のクリアーパーツで組み付けます。
8.仕上がり
- つや消しから除外しておいた各パーツを取り付けます。
- すべてのパーツを組み上げ、武器を持たせたら、いよいよ完成!
9.ウェザリング
最終目標であるア・バオア・クーでの戦場ジオラマに向けて量産型ザク、旧ザク、量産型ゲルググ、ジム、ボールとともにウェザリング仕様に仕上げます。
地上戦ではないためにブラウン系の砂ぼこりを避けた汚しを意識します。連邦系MSとの差別化のためにウォッシングやウェザリングマスターでの汚しを施します。
- 装甲の汚れをガンダムマーカー リアルタッチマーカー(グレー2)でウォッシングします。
- メラミンスポンジでグラデーションを意識しながら拭き取ります。
- タミヤ「ウェザリングマスターセットB、C」で装甲裏やエッジを意識しながらグラデーションを描きます。
- 赤錆としてクリアーオレンジで描きます。
- アクリルガッシュのバーントアンバーで錆や傷のドット、雨垂れを表現します。
- エナメル塗料のクロームシルバーをスチールウールタワシに付けて金属のはがれを表現します。
- 同じエナメル塗料のクロームシルバーでドライブラシをエッジを中心に掛けます。
- ホワイトのパステルを茶こしでこして、筆でハイライトを描きます。
- ジャイアント・バズの砲身やバーニアのすすをフラットブラックで描きます。
- 「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
ジオラマ作品「ア・バオア・クー」に配置します → 機動戦士ガンダム > 1/144 バンダイ HG MS-06 ザクⅡ を参照
製作後記
まさに”ドムのキットにはずれなし!”最新のアップグレード版MGドムと見比べても全く見劣りしないプロポーションです。
HGながらもモノアイシールドやスコープなどクリアーパーツが充実していて、とても古いキットとは思えません。唯一の不満点は拡散ビームのクリアーパーツがないことですが、ディテールアップパーツとして取り付けると目立つ箇所だけにアクセントが効いて格段に質感がアップしました。そのほかはディテールアップと言ってもMGドムを見本に装甲裏のレッドの塗装がメインでしたが、やはりこれをやらないとドムとは言えないですね。
反省点としてはビーム・バズーカのパーツの合わせ目消しが甘く、何度もやり直しになったことと、腕部関節の丸モールドを切り落とした後ハメ加工は必要なかったかと感じました。
また、懸念していたパープルの成形色もつや消しを吹くと白化も消えて落ち着いた色味になり、悪くはないですね。
このキットも最終目標であるア・バオア・クーでの戦場ジオラマに配置するまでにウェザリング仕様にする予定です。Gallery撮影のためにリック・ドムの映像を確認しましたが、やられキャラ扱いになっているものの、ファーストガンダム終盤に登場する機体数はザクより多く感じられるア・バオア・クーにおけるマストのMSと言えます。
2023.3 Galleyにジオラマ画像、製作過程に ”9.ウェザリング” を追加。
箱を開けてまず最初に目がいったのはMG ドムで気になった肩部の合わせ目です。分割パーツではないものの、パーティングラインが目立ち、注意深く見るとヒケ処理が必要な箇所が多く見られました。パーツ点数は意外と少ない印象です。
キットによって色味が変わるドムの成形色ですが、このキットのパープルは明る過ぎると感じます。最終的にはウェザリング仕様で色味を変える必要があります。そのほかに基軸パーツや武器類の色味もグレーと言うより青味が強く、ほぼ全塗装になりそうです。