1/35 AFVクラブ ドイツSd.Kfz.11 3tハーフトラック

「友の死を乗り越え、出発の準備を始めるドイツ兵たち・・・」
2006.4 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★★★
第1次大戦の終結後、ドイツ陸軍が将来の戦場における砲兵部隊の迅速な移動に対応する輸送手段の必要性から開発したのが半装軌車輌、ハーフトラックなのです。
後方のキャタピラ(トラック)により駆動し、前方のタイヤによってステアリングを切る「Sd.kfz」タイプの分類名称が与えられたハーフトラックが、1tから18tまで牽引能力によって異なる自動車メーカーによって生産されました。
この車輌はPak40/75mm対戦車砲やFlak38/20mm4連装対空砲の牽引のほかにも野戦救急車など様々な目的の車輌にも改造され、第2次大戦中も活躍したのです。

Photo Gallery


製作過程

今回の製作は自身の写真集まで発売し、専門誌「アーマーモデリング」でも掲載されたプロモデラー金子辰也氏の作品「SIROCCO」に刺激されたことがきっかけでした。 以前からトラックものを作りたいと考えていましたが、中でもタイヤとキャタピラを持ち合わせ、荷台に座席もあるこのキットはニーズにピッタリのキットでした。
海外メーカーものということでキットの精度や作りやすさに不安を持ちつつも、車輌は台湾AFVクラブ、フィギュアはドラゴンとタミヤ、装備品はタミヤなどバリエーション豊かなメーカーで取り組みました。
1.組み立て
3トンハーフトラック
  1. このキットは模型店やヤフオクでもなかなか見つかりませんでした。海外キットは初販後は入手困難なようです。車輌としては初めての海外ものでしたが、説明書は大きくわかりやすいものでした。
  2. 筆塗りが必要な足回り以外は先に組み上げます。今回は大げさなキズやへこみは付けずにストレ-トに組み立てます。思ったより順調に進みましたが、最後の足回りの精度には不満あり。
矢印
2.塗装~基本色~
3トンハーフトラック
  1. 今回はサーフェイサーは吹かずに、ジャーマングレーを下地塗装に使います。なぜなら、もともとジャーマングレーが基本色で、アフリカ戦線の場合すべてダークイエローに塗り替えられているからです。(このままの方がドイツ車輌らしいのですが・・・)
  2. 一晩寝かせて次は下地のジャーマングレーを残しつつ、塗装のはがれを意識しながら薄くダークイエローを吹きます。
矢印
3.塗装&組み立て~筆塗り~
3トンハーフトラック
  1. タイヤ・キャタピラ・運転席などを筆塗りします。
  2. すべてのパーツを組み立てます。
  3. フロントガラスはワイパー跡をマスキングしてダークイエローを軽く吹き、ほこりを再現します。
  4. 第15戦車師団のデカールを貼ります。
矢印
4.塗装~汚し塗装~
3トンハーフトラック
  1. 溶剤で薄めたジャーマングレーでスミ入れ、細部に影を付けます。
  2. エナメル溶剤に綿棒で表面を拭き取ります。
  3. ガンダムマーカーの「ウェザリングマーカーセット」でチッピングを施します。
  4. ジャーマングレーでドライブラシを行い、もともとの塗装のはがれを再現します。
  5. フラットアルミでもドライブラシを行います。
  6. 仕上げは100円ショップで購入したパステル(黄土色)を茶こしでこし、筆で車輌にすり込み、全体色を落ち着かせます。
矢印
5.フィギュア&アクセサリー~
3トンハーフトラック
  1. フィギュアはドラコンの「休息中のドイツアフリカ軍団」を使用。ストリーテラーのワンコは私の好みの色であるホワイト&レッドに・・・。
  2. アクセサリーはタミヤ「連合軍車輛アクセサリーセット」と「ドイツ ドラムカンセット」を使用。
  3. その他に兵士や給油用のノズル、バケツ、カンなと゛は手持ちの余りキットを流用しました。
  4. 仕上げにMr.スーパークリアーつや消しを使ってみました。
  5. 今回のジオラマのストーリーのキーとなる十字架は余りランナーを加工。削って木の質感を出し、2本の木を結び付けたかのように黒糸を結びます。
矢印
6.ジオラマ~ベ-ス~
3トンハーフトラック
  1. ベースはタミヤのスチレンボード5mm厚を使用。
  2. 起伏をつけるため、手前にスチレンボードで小さな土手を、奥には発砲スチロールで岩肌を製作。これらをスチのりで接着。
  3. 地面にはパターンシート(ストーン)や「ぼくしいくん」を石として使用して、木工用ボンドで接着します。
  4. 墓標に盛った土を石粉粘土で作り、木工用ボンドで接着します。
矢印
7.ジオラマ~地面~
3トンハーフトラック
  1. ベースにストーン調スプレーを吹きます。
  2. 木工用ボンドを霧吹き、壁用補修材を茶こして蒔き、ハブラシで地面をたたいて、質感をつけます。
  3. 地面と岩肌に軽くダークイエローを吹きます。
  4. パステル(黄土色・茶色・黒色)を使って砂や土の質感を再現します。
  5. 砂利としてシーナリーバラストを、光栄堂のレイアウトストーンを木工用ボンドで接着します。
  6. 雑草として、ダークイエローに塗装したライケンと芝シートを削ったものを接着します。
  7. 最後にマスキングを剥がし、ストーン調スプレー色でベースの縁を筆で補正します。
矢印
8.仕上がり
3トンハーフトラック
  1. 車輌に装備品と兵士を、ベースに車輌とアクセサリーを設置。地面に立つ兵士は真鍮線で固定。
  2. ジェリカンから注ぐ水は透明ランナーで製作。
  3. ラジエターへ給水中の水やバケツの泥水、地面の水溜りなど液体はエポキシ接着剤を使用しました。
  4. ティッシュペーパーで雑巾を作り、給水口脇と荷台、バケツに接着します。
  5. フラットブラウンで地面の兵士や犬の影、車輌に登った兵士やトカゲの足跡、車輪の跡を筆塗り。
  6. 青空の画像を写真屋で拡大プリントしたものを背景パネルとして使用します。
  7. タミヤのディスプレイケースFにのせてふたをしたらいよいよ完成!
製作後記
前述のとおり、今回はプロモデラー金子辰也氏の作品「 SIROCCO 」をヒントに製作しましたが墓標やワンコ、バケツや荷物にトカゲなど所々に自分なりのストーリーを盛り込んでみました。さらにジオラマベースはアフリカの砂漠を意識しながらも起伏をつけて、岩や石、雑草にまでこだわりました。
そしてなんと言っても今回の作品を支えてくれたのは、これまで蓄積してきたアクセサリーやジオラマ素材です。車輌本体もそうですが、模型店や画材店を回って少しずつ集めておいたフィギュアやアクセサリー、ツールが活かされた集大成の作品なのです。
ジオラマ製作の醍醐味は製作前のイメージと製作工程終盤、車輌やアクセサリーを取り付けながら ” まもなく完成!” が見える時とが交錯する瞬間だと思います。

prev 前のページへ このページのトップへ次のページへnext