1/144 バンダイ HG RX-78GP02A ガンダム試作2号機 サイサリス

ガトー「再びジオンの理想を掲げる為に、星の屑成就のために!ソロモンよ、私は帰ってきた!」
2023.1 製作
お気に入りランク:★★★★☆  レア度:★★★★★

地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクス社による極秘プロジェクト”ガンダム開発計画”によって開発された試作1号機(コードネーム ゼフィランサス)とともに地上試験および戦術核発射テストのためトリントン基地に搬入されたガンダム試作2号機(コードネーム サイサリス)はジオン公国残党勢力デラーズ・フリートの強襲を受け、アナベル・ガトー少佐によって奪い去られました。(サイサリスはホオズキの学名で、花言葉は偽り)
最強最悪の破壊兵器”核”を搭載したアトミック・バズーカを持つこの機体は自ら放つ核爆発に耐えるため、全て装甲に耐熱・耐衝撃処理が施され、冷却装置が組み込まれている大型シールドはその内部にアトミック・バズーカのバレルを分離して格納することも出来ます。さらにバックパックの代わりに両肩に高出力のジェネレーターを搭載したフレキシブル・スラスター・バインダーによって機動性も確保されています。

デラーズ・フリートによるいわゆる”星の屑作戦”とは核兵器を搭載したガンダム強奪、観艦式強襲、コロニー落としの三段階からなり、本機はコンペイトウ宙域で挙行される地球連邦軍の観艦式を襲撃する際に核攻撃を行い、艦隊を壊滅状態にした後、追撃してきた地球連邦軍のコウ・ウラキ少尉が搭乗するガンダム試作1号機・フルバーニアンと激戦の末、相討ちとなりました。

Photo Gallery


製作過程

「RG RX-78GP01 ガンダム試作1号機 ゼフィランサス」と「RG RX-78GP01 ガンダム試作1号機 フルバーニアン」 の製作から約10年・・・RGのGP02の発売を心待ちにしていましたが、発売が見込めないために昨今のガンプラ再販ブームに乗っかってようやくレアキットを購入することが出来ました。
現在GP01機はメカニカル・チェーンベースのジオラマとして飾っているために、第1話「ガンダム強奪」シーンの再現としてGP02機と並べた状態が完成イメージです。 2006年7月発売のキットということで改造が必要な箇所が多いうえに、RGのGP01と見劣りしない完成度で仕上げることが出来るかが製作ポイントです。

 

1.イメージ

ガンダム試作2号機 サイサリス

まず、箱を開けて気になったのは赤と青のパーツの成形色が眩し過ぎることです。おもちゃ感は否定できません。取扱説明書をさらっと見てもイロプラ漏れも各所にあり、ほぼ全塗装になりそうです。
さらに覚悟はしていましたが、パーツの合わせ目消しの難易度が高そうであり、それに伴う後ハメ加工も必要です。ただし、下半身については大きな加工は必要なさそうです。
そしてこのHGのGP02はRGのGP01と共演させたいので、機体色の微妙な色分けやデカールの追加などRG風のディテールアップも施さなければなりません。

  1. 頭部、腕部、フレキシブル・スラスター・バインダーに後ハメ加工を施します。
  2. 頭部、腕部、フレキシブル・スラスター・バインダー、武器類にパーツの合わせ目消しを行います。
  3. 部位によっては基軸パーツの強度を下げるような後ハメ加工は避けて、マスキング塗装で柔軟に対応します。
  4. 胸部一部、胴体部一部、腕部を段落ちモールドとして彫り込みます。
  5. 一部のイロプラは生かしつつも、同系色のバリエーションを増やして情報量を増やします。
  6. 劇中の映像を検証して、イロプラ漏れの塗装を追加します。
  7. GP01用のリアリスティックデカールを流用してRG風に仕上げます。

2.仮組み

ガンダム試作2号機 サイサリス

後ハメ加工とパーツの合わせ目消しの検証を行うため、仮組みからスタートです。
組み立て後の感想としては思ったよりずんぐりむっくりではなく、マッシブな印象です。欲を言えば、もう少し小顔で足が長いとバランスがよいと思いますが、そもそも難易度の高いキットなのでそこまでの加工は行わないことにします。
組み立てそのものはスムースで、パーツのポロリの心配はなく、これまで製作したガンプラの中でもかなり硬めの組み付けになります。
今回からタミヤ「先細薄刃ニッパー (ゲートカット用) 」を使用します。本当はモデラーの間で評価の高いゴッドハンド「アルティメットニッパー」が第一希望だったのですが、高価で手が出なかったものの、このニッパーでも充分な性能を感じることが出来ました。

3.後ハメ加工

ガンダム試作2号機 サイサリス

今回は基軸パーツの強度を下げるような後ハメ加工は避けて、マスキング塗装で出来るものは組み立てながら対応したいと思います。

  • 頭部の一部にパーツの合わせ目が出ます。内部を一部削って顎を通せるようにします。
  • フレキシブル・スラスター・バインダーの外装パーツの内側のダボ穴をカットし、瞬間接着剤で接着出来るようにします。
  • 胸部内部のダボ穴を斜めにカットして胴体部が差し込めるようにします。
    ちなみに胴体部の赤いパーツはパーツの合わせ目消しを行わずに段落ちモールド処理とします。
  • 腕部は基軸パーツの真ん中あたりを切断して上下両サイドからと通せるようにします。

4.塗装1

ガンダム試作2号機 サイサリス

いつも通り基軸パーツからジャーマングレイを吹いて塗装を始めます。
フレキシブル・スラスター・バインダーは組み立てながら、マスキング塗装を駆使しつつパーツの合わせ目消しを行うために先に基軸パーツを組み立て、先に塗装を進めておきます。

5.段落ちモールド

ガンダム試作2号機 サイサリス

高額転売価格のスジボリ堂「BMCタガネ(幅0.15mm)」には手を出さない(出せない?)ので、 ハイキューパーツ「ラインスクライバーCS 0.15mm」で段落ちモールドを彫り込んでいきます。

  • 胸部の下部を段落ちモールド処理し、上部はパーツの合わせ目消しで処理します。
  • 膝部の側面を段落ちモールド処理します。
  • 肩部の合わせ目の反対側に対の段落ちモールドを作ることでパーツの合わせ目消しを回避します。
    ここで初めてハイキューパーツ「 スジボリ用ガイドテープ 3mm (30m巻)」を使用します。短い箇所ですが、手探りでなんとか狙い通りのモールドを彫り込みました。ゆっくり、繰り返し、丁寧にがポイントですね。

6.パーツの合わせ目消し

ガンダム試作2号機 サイサリス

今回の製作ポイントでもあるパーツの合わせ目消しを塗装と並行しながら進めます。
難所のフレキシブル・スラスター・バインダーは基軸パーツを塗装して装甲パーツに組み付けてマスキング後にパーツの合わせ目消しを行います。さらにバインダー外装パーツを接着後再度パーツの合わせ目消しを行います。
胸部も同様に基軸パーツを塗装後に組み付け、マスキングしてからパーツの合わせ目消しを行います。
腕部のシリンダーはパーツの合わせ目消しのために切除して塗装後に自作したシリンダーを取り付けます。

  1. パーツの合わせ目に瞬間接着剤をたっぷりつけます。
  2. 硬化の時短のためにアルテコ「瞬間接着剤用硬化促進剤 スプレープライマー」を吹きます。
  3. フィニッシングペーパーで400番→600番→1000番の順に磨き、最後にスポンジ研磨材で仕上げます。
  4. パーツ全体にサーフェイサー(グレー)を吹きます。
  5. ハイキューパーツ「ラインスクライバーCS 0.15mm」で埋まったモールドを彫り込みます。
  6. 必要に応じてサフと研磨を粘り強く繰り返します。
【対象箇所】
  • 頭部のパーツの合わせ目は劇中の映像を参考に上部のモールドを残して、下部のみパーツの合わせ目消しを施します。
  • 胸部の上部
  • アトミック・バズーカの基部と砲身
  • 腕部装甲
  • フレキシブル・スラスター・バインダー
  • フレキシブル・スラスター・バインダー外装パーツ

7.塗装2

ガンダム試作2号機 サイサリス

パーツの合わせ目消しが納得いくところまで出来たら、サーフェイサーの乾燥を待って塗装を開始します。
映像と取扱説明書の検証をしながらイロプラ漏れをチェックして塗装を加えます。青の成形色は2色に分け、赤の成形色は上半身はイロプラを生かし、脚部のみレッドを吹いて色のバリエーションを広げます。
シールの箇所は一部を筆塗りします。

  • 頭部ダクト、足関節丸モールド、足表裏モールド、シールド内面、アトミック・バズーカ→ジャーマングレイ
  • 頭部バルカン外枠、フレキシブル・スラスター・バインダーのモールド、シールドのダクト→レモンイエロー
  • ツインアイの隈取り→フラットブラック
  • 装甲→灰色9号
  • フレキシブル・スラスター・バインダーの青い外装パーツ→ブルー+ジャーマングレイ+ホワイト
  • 胸部→ガンダムカラー MSブルーZ系
  • バックパック→ネイビーブルー
  • 腹部・脚部シール部、脚部パーツ、脚部後部モールド→レッド
  • 胸部サーチライトモールド、スカート基軸部、脚部後部モールド→ガンダムマーカーEX<ヘビーガンメタリック>
  • ディスプレイスタンド→つや消しブラック

8.ディテールアップ

ガンダム試作2号機 サイサリス

定番のディテールアップに加えてBlu-rayで映像を確認して追加塗装を施します。
パーツの合わせ目消しのために切除した腕部のシリンダーはタミヤのプラ棒で自作して後付けします。その他組み立てながら気付いて追加する箇所も多数ありました。

  • ブレードアンテナ→シャープ化
  • ツインアイの隈取りとして赤いラインのジャンクデカールを貼り付け
  • 腕部シリンダー→丸棒2mm(ジャーマングレイ)+丸棒1mm(アルミシルバー)で自作
  • シールド丸モールド→ピンバイスで彫り込み
  • 胸部丸モールドにウェーブ オプションシステム「U・バーニア フラット〔1〕」3.0mmを、フレキシブル・スラスター・バインダーの青い外装パーツの丸モールドは2.5mmのパーツをガンメタルで塗装して取り付け
  • ブレードアンテナ→軍艦色
  • 各部装甲裏、足裏→ジャーマングレイ
  • 頭部バルカン、バックパック丸モールド→ガンダムマーカーEX<シャインシルバー>
  • 左肩・バックパックの02ロゴモールド→ロイヤルライトグレイ
  • 装甲裏、足の表裏→ジャーマングレイ
  • バーニア外輪1一部→サーフェイサー(ホワイト)+灰色9号
  • バーニア外輪2→ガンメタル
  • バーニア内輪→レッド
  • バーニア中心部→ジャーマングレイ

9.スミ入れ&組み立て2

ガンダム試作2号機 サイサリス

スミ入れはクラックを避けるためにガンダムマーカーにするか迷いましたが、今回は大型パーツが多いことからMr.ウェザリングカラーをメインとし、必要に応じてガンダムマーカーやシャーペンで補正します。
今回はハイキューパーツ「ラインスクライバーCS 0.15mm」で少しモールドを彫り込んでおいたためにスミの流れに一定の効果がありました。

  1. 「Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」でスミ入れします。
  2. 乾燥後、うすめ液を使って綿棒で拭き取ったら、クラック防止のためにドライヤーで速乾させます。
  3. ガンダムマーカーやコピック マルチライナー<ブラック>0.03mmとシャーペンで補正します。
  4. スミ入れが完了したら、すべてのパーツを組み上げます。

10.マーキング

ガンダム試作2号機 サイサリス
  1. 付属のホイルシールからこの段階では胸部ダクトのイエローシールのみ貼り付けます。この箇所は輝きを必要としないためで、そのほかはつや消しを吹いた後に貼り付けます。
  2. 本キットのためにBANDAI SPIRITS 部品通販でRG「ガンダム試作1号機ゼフィランサス」用のリアリスティックデカールを取り寄せました。最近WEB注文出来るようになり、とても便利になりました。
    兄弟機でもあるガンダム試作1号機とほぼ同じ位置にリアリスティックデカールを貼り付けます。
  3. 大型のシールドをメインに手持ちのジャンクのリアリスティックデカールで補います。
  4. 同様にジャンクの水転写式デカールでも補います。
  5. 水転写式デカールは「Mr.マークソフター」でデカールを馴染ませます。
  6. 一部のホイルシールを除いて「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
  7. つや消しから除外しておいたツインアイ、後頭部、サーチライト、シールドのホイルシールを貼り付けます。
    シールドの逆三角マークは内側の逆三角形をくり抜いて貼り付けます。

11.仕上がり

ガンダム試作2号機 サイサリス
  1. すべてのパーツを組み上げたら、いよいよ完成!
  2. このキットにはディスプレイスタンドが付属しており、RX-78GP01 ガンダム試作1号機 フルバーニアンとの2体同時ディスプレイが可能となっています。

製作後記

久々の超大作がようやく完成しました!
後ハメ加工、パーツの合わせ目消し、段落ちモールド、マスキング塗装、RG風デカールなどHGキットの作り込みに必要なすべての要素が問われる作品となりました。
まず、このキットの特徴として硬すぎるパーツの組み付けがあり、各所に影響しました。最終の組み立てではダボ穴を削らないとパーツの組み付けが出来ない、ポロリはないもののポージングがとりにくい、可動式スラスターが干渉して塗装が剥がれる、ビーム・サーベルの柄がヤスらないと鞘に収まらない・・・などなど完成目前に様々な問題が発生しました。
また、イロプラ漏れも多数あり、完成後も追加塗装が多発しました。
予定では機体色の灰色9号に加えて装甲突起部のモールドをニュートラルグレイにする予定でしたが、マスキング塗装や筆塗りムラのリスクから追加塗装を避けました。また、付属のホイルシールについてもすべてを塗装とせずにホイルシールが生かせるところは生かすことにしました。 リスクを避けつつ、程よい妥協をしながら柔軟に対応して仮組み時のおもちゃ感の印象から目指したRG風の情報量にアップ出来たと感じています。

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