1/144 バンダイ HG MS-06 ザクⅡ
ジオン学徒兵「あー、あ、ひ、火が・・・母さん!」
お気に入りランク:★★★★☆ レア度:★★★★☆
MS-06F/J ザク、いわゆる量産型ザクは宇宙でも地球上でも運用され、一年戦争末期まで最も多く量産されたF型のほかに陸戦用のJ型や砲撃戦仕様や高機動型など多くの派生型が生み出されました。
第1話冒頭、シャア・アズナブル率いる特殊部隊がサイド7潜入時の衝撃的なザクの登場シーンから始まり、一年戦争末期にはリック・ドムやゲルググの投入があったものの、生産数で圧倒していたザクⅡは劣勢に立たされたジオン公国軍を第一線で支えたのです。
一年戦争最後の戦いの舞台で、大戦末期には次期主力MS用の生産ラインも組まれたア・バオア・クーはルナツーやソロモンと同様、スペース・コロニー建設用に小惑星帯から運ばれてきた鉱物資源衛星で、”ア・バオ・ア・クゥー”という名称はインドの伝説に記された生物に因むとする説が有力です。
ア・バオア・クー要塞内ではジオン軍総帥ギレンによる演説が行われ、全将兵の士気を高揚させて指揮をとっていたものの、父デギン公王の死がソーラレイ発射によるものと知ったキシリアは父殺しの兄ギレンを射殺し、戦況を見切ったキシリアはア・バオア・クーからの脱出を試みたものの、最後はシャアが放ったバズーカ砲によって殺害されました。
その後、月面都市グラナダにて地球連邦政府とジオン共和国政府との間に終戦協定が締結されたのです。
Photo Gallery
製作過程
ガンプラの最もベーシックなキットHGザクです。
このキットを製作するのは2回目で「HG MS-06 ザク地上戦セット」に含まれるザクを「EX YMT-05 ヒルドルブ」のジオラマの脇役として2011年6月製作しました。その当時はパーツの合わせ目消しもせずにラフなウェザリングで済ませたお粗末な仕上がりでした。今回はそのキットをもう一度掘り起こし、予備パーツとダメージ仕様として活用しながらこの新規キットを製作したいと思います。
最新のHGザクはREVIVE版になるわけですが、量産型の発売が待ちきれずに「1/144 バンダイ HG MS-06S シャア専用ザクⅡ」を量産型カラーに塗り替えて製作してしまったために、新たに量産型ザクREVIVE版を購入する気にはなれませんでした。
また、今回のザクの製作目標としてア・バオア・クーでの戦場ジオラマに必要なキットとして量産型ゲルググ→旧ザク→リックドム→ジム→ボールと古いHGで準備してきたために、最新キットのザクではなく無骨な旧型のキットを選択することにしました。
1.イメージ
2.組み立て1&パーツの合わせ目消し&段落ちモールド
- パーツの合わせ目消しが必要な箇所の基軸パーツを先に組み立て、ジャーマングレーで塗装後組み立てます。
その他パーツも並行して組み立てます。 - パーツの合わせ目消しのためにショルダースパイクアーマー、腕部、脚部、ザク・マシンガン、ザク・バズーカにたっぷりとタミヤセメントを付けて、むぎゅとしたら4.5日に硬化を待ちます。
可能な限りクリップで挟み込んで硬化を待ちます。 - 硬化後、フィニッシングペーパーで400番→600番→1000番の順に磨き、最後に3M社のスポンジ研磨材で仕上げます。
- 胸部下部と脚部裏上部を段落ちモールドとして彫り込みます。
- 組み付けた基軸パーツをマスキングしておきます。
- サーフェイサー(ホワイト)を吹き、必要に応じてサフと研磨を粘り強く繰り返します。
3.塗装
パーツの合わせ目消しが完了したら基本塗装を進めます。
ハンドパーツの指はイロプラ漏れのため筆塗りします。マスキングしておいた基軸パーツにはみ出した箇所も塗り直します。
- 機体装甲→ガンダムカラースプレー MSグリーン
- 胸部・スカート部→ガンダムカラースプレー MSディープグリーン
- ランドセル→ネービーブルー
- モノアイレール・胸部・関節部・足裏→つや消しブラック
- 基軸パーツ・ポリキャップ→ジャーマングレー
- 指、ザク・マシンガン、ザク・バズーカ→ジャーマングレイ
4.組み立て2&スミ入れ
作業しやすいようにすべてを組み立てずに、各部ごとに組み立てます。
今回は全塗装のためにMr.ウェザリングカラーをメインでスミ入れし、大創の「オイルライター専用オイル」で拭き取り、クラック防止のためにドライヤーで速乾させます。
- 動力パイプ→ガンダムマーカースミいれ用<ブラック>
- 各部ごとに組み立てます。
- 機体、ザク・マシンガン、ザク・バズーカ→Mr.ウェザリングカラー マルチブラック
- GSIクレオス「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」でコーティングします。
5.ディテールアップ
作業工程上前後しますが、ディテールアップは以下の通りです。
このキットのランドセルにはなぜかバーニアがありません。劇中の映像を確認すると確かにバーニアがありませんが、最近のキットを見れば考えられない欠落です。ランドセルに接続部を彫り込み、ジャンクパーツのバーニアを追加します。
- モノアイレールのシール貼り付け箇所をピンバイスで彫り、ウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアーピンク3.5mm裏にセメダイン「ラピーミニ キラキラテープ」を貼り付け、モノアイとして接着します。
並行してリペアーしたもう1機のザクのモノアイは消灯仕様としてクリアーの「H・アイズ」を接着します。 - モノアイ支柱内側に両面テープを貼り付け、ランナーが入っている透明の袋を切り取り、モノアイシールドとして取り付けます。
- マシンガン、ザク・バズーカのスコープとしてウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアーピンク2.8mm裏にセメダイン「ラピーミニ キラキラテープ」を貼り付け、接着します。
- シールド裏→サーフェイサー(ホワイト)+ガンダムカラー MSグリーン
- ショルダースパイクアーマー、脚部、スカート装甲裏→フラットブラック
- 頭部ダクト、足裏丸モールド、ヒートホークの動力パイプ→ガンダムマーカーEX<ヘビーガンメタリック>
- 足裏バーニア→ガンダムマーカーEX<シャインシルバー>
- ランドセルにジャンクパーツのバーニアを追加
- バーニア内輪→アルミシルバー
- バーニア外輪→ガンメタル
- ヒートホークの柄→サーフェーサー(ホワイト)+パープル
- ヒートホークの刃先→サーフェーサー(ホワイト)+アルミシルバー
6.ウェザリング
「HG MS-06 ザク地上戦セット」のリペアしたザクと合わせて最終目標であるア・バオア・クーでの戦場ジオラマに向けて旧ザク、リックドム、量産型ゲルググ、ジム、ボールとともにウェザリング仕様に仕上げます。
地球上ではない宇宙空間での戦闘のためにブラウン系の砂ぼこりを避けたウォッシングやウェザリングマスターでの汚しを施します。
- 装甲の汚れをガンダムマーカー リアルタッチマーカー(グレー2)でウォッシングします。
- メラミンスポンジでグラデーションを意識しながら拭き取ります。
- タミヤ「ウェザリングマスターセットB、C」で装甲裏やエッジを意識しながらグラデーションを描きます。
- 赤錆としてクリアーオレンジで描きます。
- アクリルガッシュのバーントアンバーで錆や傷のドット、雨垂れを表現します。
- エナメル塗料のクロームシルバーをスチールウールタワシに付けて金属のはがれを表現します。
- 同じエナメル塗料のクロームシルバーでドライブラシをエッジを中心に掛けます。
- ホワイトのパステルを茶こしでこして、筆でハイライトを描きます。
- ザク・マシンガン、ザク・バズーカの砲身やバーニアのすすをフラットブラックで描きます。
- 「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を再度吹いてコーティングします。
7.ジオラマベース1
ア・バオア・クーの要塞基地出口と岩盤をイメージしてベースを製作していきます。
製作したMS達の配置を考えながら、限られたスペースをフル活用したいと思います。
- ジオラマベースはベースの"反り"を防げるMDF(木質繊維を原料とする成型板、中密度繊維板28.5㎝×28.5㎝)を使用します。側面はマットブラックで塗装し、乾燥後マスキングしておきます。
- ホームセンターで購入したスチロールブロックを大型カッターナイフや焼いたキリでア・バオア・クーの岩盤をイメージして削り込みます。
- 購入したスチロールブロックでは横幅が不足したために、切り崩したスチロールを100円ショップ大創の「紙ねんど」と木工用ボンドとランナーを支柱として差し込み、横幅を拡大します。
- ドック内の天井部のライトやエフェクトパーツを光らせる電灯として100円ショップ大創の「デコレーションライト(シャンパンゴールドカラー)」を設置するためにスチロールブロック内に電池ボックスと配線のスペースが確保出来るようにさらに彫り込みます。
- ドック内部の鋼板として100円ショップ大創の「ディスプレイスタンドW(ワイドタイプ)」を使用し、天井部のライトを通す穴を開けます。
- ライトの灯りが盛れないようにディスプレイスタンドをマットブラックで塗装しておきます。ここではコスト削減のために100円ショップ大創の「補修用ラッカースプレー マットブラック(油性)」を使用しましたが、以前このスプレーを発泡スチロールに吹いて、溶解させるというアクシデントを経験したために油性は注意が必要です。
- スチロールブロックが形作られたら下地塗装としてアサヒペン「ストーン調スプレー(ホワイトストーン)」を下地として吹いて岩盤の密度を上げます。
8.ジオラマベース2
スチロールブロックの加工が完成したら要塞基地出口前にディスプレイベースの配置と地面の造形を進めます。
- スチロールブロックに基本塗装として黒鉄色を吹き、陰影をつや消しブラックで描きます。
- ジムとボールを配置するために「アクションベース4 クリア」をジオラマベースに接着します。
- 100円ショップ大創の紙ねんどを木工用ボンドでジオラマベースに接着しながら、アクションベースを埋め、さらにリックドムを配置するための足跡を描きます。 地面の密度を上げるために歯ブラシで叩き、さらにアサヒペン「ストーン調スプレー(ホワイトストーン)」を吹きます。
- スチロールブロック同様地面も基本塗装として黒鉄色を吹き、陰影をつや消しブラックで描きます。
- 仕上げとして「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」をジオラマベース全体に吹きます。
9.ジオラマベース3
ジオラマベースの土台が完成したら、完成に向けて要塞基地内部の製作と電飾の配線を行います。
- 要塞内部の天井、壁、床としてタミヤ「スチレンボード3mm厚」にモールドを彫り込みます。
- 「RGジオング エフェクトセット」から余剰パーツとなっていた壁を2枚流用し、スチレンボードと合わせてヘイズグレーを吹いて塗装します。
- それぞれ「Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」でスミ入れし、「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
- 天井の電灯カバーをジャンクパーツで流用し、サーフェイサーを吹いた後アルミシルバーで塗装し、スチのりで接着します。
- 天井部のライト用に確保しておいたスペースから100円ショップ大創の「デコレーションライト(シャンパンゴールドカラー)」の電池ボックスを通して、各部に配線を通します。
電池交換や電飾キット交換が後々出来るように各パーツは両面テープやブラックのビニールテープで取り付けておきます。
また、電池ボックス挿入口上の岩盤はエフェクトパーツと一体化してふたとなるようにします。 - 要塞内部の壁と岩盤の間を埋めるツールとして、今ネットで話題の山田化学(株)の「ミニチュア トラスセット」を2個接着し、ジャーマングレーで塗装後クロームシルバーでドライブラシを掛けてスチのりで接着します。
- ハンズで購入したゴークラ「カラー工作用紙 525×380mm」をベースサイドの形状に合わせて切り取り、背景パネルとします。裏面の淵をマットブラックで塗装します。
- ジオラマベース上部に出来る背景用の画像をPhotoshopで製作し、ラベルシートに印刷して背景パネルおもて面に貼り付けます。
- スチロールブロックに背景パネルを両面テープで貼り付けます。
- さらに要塞基地内部の画像をPhotoshopで製作し、ラベルシートに印刷して背景パネルおもて面に追加して貼り付けます。
- 「HOBBY BASEのモデルカバースクエア(特大)」のベースに乗せてジオラマベースの完成です。
10.仕上がり
- MSにエフェクトパーツを取り付けます。
- 量産型ゲルググ→ビーム・ライフル先端
- 旧ザク→無し
- ザク→無し
- リックドム→ビーム・バズーカ先端
- ジム→背面バーニア
- ボール180mm低反動砲→下部バーニア、ボール2連装キャノン砲→背面バーニア
- MSをジオラマベースに取り付けるツールとして、製作途中にネット記事で目にしたコクヨ「プリットひっつき虫」を試してみました。”硬化しないエポキシパテ”という触感で取り外しは簡単ですが、保持力はこれで大丈夫だろうかという感じでした。
- 当初「HG MS-06 ザク地上戦セット」に含まれるザクを2機目のザクとして投入する予定でしたが、ジオラマのスペースやバランスを考えて、ザクヘッドのみジャンクパーツを活用して大破し浮遊した状態で配置します。
- ジオラマベース上部の電池ボックスを隠すふたの岩盤の爆発エフェクトパーツ、バーニアエフェクトパーツ、フラッシュエフェクトパーツをデコレーションライトの配線と組み合わせて配置します。
- デブリパーツをジャンクパーツを活用して浮遊した状態で配置します。
- すべてのパーツを組み上げ、ディスプレイパーツで取り付け、電飾キットのライトを点灯したら、いよいよ完成!
今回のジオラマは上部にもMSを配置しているために「HOBBY BASEのモデルカバースクエア(特大)」のふたの上からも見やすくかつ、ほこりよけのために100円ショップ大創の「硬質カードケース A3」を加工して二重のふたとします。
【エフェクトパーツ使用一覧】
- ROBOT魂 機動戦士ガンダム[SIDE MS] エフェクトパーツセット ver. A.N.I.M.E.
- ROBOT魂 機動戦士ガンダム[SIDE MS] エフェクトパーツセット 2nd ver. A.N.I.M.E.
- 手持ちのジャンクパーツ
- RG MSM-02 ジオング ラストシューティング エフェクトセット
- MG MS-06R 高機動型ザク "サイコ・ザク" Ver.Ka (GUNDAM THUNDERBOLT版)ラストセッションVer.
- フィギュアライズエフェクト ジェットエフェクト(クリアブルー)
- HG 機動戦士ガンダム 水星の魔女 ウェポンディスプレイベース
製作後記
量産型ゲルググ→旧ザク→リックドム→ジム→ボール→ザクと準備してきた製作期間3ヶ月の超大作ア・バオア・クーのジオラマがようやく完成しました!
まず本キットのザクですが、最新のREVIVE版のようなシュッとしたスタイルではなく、やや短足で無骨な本キットのザクの方がファーストガンダムのイメージに合っていると感じます。残念ながらリペアーした「HG MS-06 ザク地上戦セット」のザクとの完全共演はスペースの関係上叶いませんでしたが、パーツの合わせ目消しや段落ちモールド、ディテールアップのスキル向上が実感できた完成度です。
最終目標のア・バオア・クーのジオラマですが、HOBBY BASEのモデルカバースクエアのベースの面積による制限が大きく、かなりごちゃごちゃした縦長のジオラマとなってしまいましたが、これがディスプレイベースを並べていたら、ベースや支柱が干渉して7体も配置することは出来なかったでしょう。
ジオラマの新たな試みとしてMSにエフェクトパーツを取り付け、天井ライト・エフェクトパーツとLEDの点灯、背景パネル・ディスプレイベースとジオラマベースの一体化などに挑戦しました。また、反省点としては上段の量産型ゲルググと旧ザクが岩盤の背景色と同化してMS映えしなかったことと、上段のスペースが狭く、ふたをすると頭打ちになってしまった点です。
古いガンプラの見本のようなキットで、ショルダースパイクアーマーや腕部、脚部にガッツリとパーツの合わせ目が出ます。これだけ大規模にパーツの合わせ目消しが必要となると全塗装せざる負えません。
しかし、今回はア・バオア・クーでの戦場ジオラマにおけるウェザリング仕様に仕上げるために、塗装はあまり神経質にならずに進めたいと思います。