1/144 バンダイ HG RX-78-02 ガンダム(ククルス・ドアンの島版)

アムロ「ククルス・ドアン・・・あなたの体にしみついている戦争の臭いが戦いを引き寄せるんじゃないでしょうか?それを消させて下さい。ドアン。」
2022.7 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★★★

映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」は1979年に放送されたテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」を元に劇場版3部作には含まれなかった伝説的エピソードをファーストガンダムのキャラクターデザイナーであり、アニメーションディレクターでもある「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を手がけた安彦良和監督が新たに映像化した作品です。

宇宙世紀0079年地球連邦軍はジオン公国軍との一年戦争の中でジャブローの防衛戦後、ジオン地球進攻軍本拠地オデッサを攻略すべく大反抗作戦に打って出ようとしていました。アムロたちホワイトベースは補給のためにベルファストへ向かっていた中、通称”帰らずの島”と呼ばれる無人島アレグランサ島の残置諜者の掃討任務を言い渡されるのです。
そこでザクとの戦闘でガンダムを失ったアムロは、20人の子供たちとジオン公国軍の脱走兵ククルス・ドアンと出会うのです。

Photo Gallery


製作過程

2022年6月3日公開初日の第1回目の上映で映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を見てきました。

三井ショッピングパーク ららぽーと福岡での実物大νガンダム立像RX-93ff νガンダムのメディア向けオープニングセレモニーにおいて、古谷徹さんと森口博子さんのコメントから大きな期待をもって臨みましたが、ストーリー・映像ともに想像を超える完成度でした。主役機であるガンダムの出番は少ないものの、意外に多い戦闘シーンを見ながら、これらをジオラマで再現したいと映画を見ながら構想を張り巡らせました。ガンプラ同様Blu-rayもプレミアムが付くことが予想されたため、上映後すぐに劇場でBlu-rayを購入しました。

このキットはORIGIN版ガンダムの全身の成型色を刷新した中期型ガンダムの劇中のカラーリングを再現し、コーションマークやホワイトベース部隊所属を示す部隊章などが水転写式デカールで付属されています。 ビーム・ライフルやシールドといった武装類に加え、武器持ち手、平手なども付属しています。
幸運にもプレミアムバンダイの1次予約に成功し、「HG RX-78-02 ガンダム(ククルス・ドアンの島版)」と「HG MS-06F ドアン専用ザク」を同時にゲットすることが出来ました。この2機を使って劇中で印象的だったあのシーンをジオラマで再現したいと思います。

 

1.イメージ

ガンダム

プレミアムバンダイ限定商品にしては珍しいフルカラーのパッケージ、それもガンダム単体のデザインではなく劇場キービジュアルをそのまま取り入れています。
箱を開けると、まず気になるのは胸部の青いパーツの色です。この色味は缶スプレーで再現することは困難であり、成型色を生かした段落ちモールドで製作を進めることにします。白い成型色は旧キットを思い起こさせるやや緑っぽい色味となっています。
取扱説明書はフルカラーのORIGIN版ガンダムにモノクロのククルス・ドアンの島版用に追加された一枚が追加されており、ガンダムの前期型と中期型の2択のうち、中期型を選択するよう指示されています。

  1. 基本的に成型色パーツを生かし、基軸パーツの塗装と筆塗りでククルス・ドアンの島版ガンダムを再現します。
  2. パーツの合わせ目消しをなるべく避けて、臨機応変に段落ちモールドで対応します。
  3. シール対応のツインアイや腹部、腕部・脚部・足首の丸モールドは筆塗りします。
  4. スカート裏を中心に装甲裏の塗装でリアリティーをアップさせます。
  5. 劇中のガンダムはホワイトベースから出撃間もない設定のため、控えめのウェザリングとします。

2.組み立て1&パーツの合わせ目消し

ガンダム
  1. 胸部パーツの合わせ目はほとんど気にならない構造となっているため、両サイドを段落ちモールドで対応します。
    脚部も同様に後部の合わせ目を段落ちモールドで対応します。
  2. 目立たない構造ではありますが、股関節基軸パーツ、ビーム・ライフルにパーツの合わせ目消しを、ハイパー・バズーカは後ハメ加工を施します。
    ハイパー・バズーカは白い筒の後部のダボをカットし、根元を一部カットして後ハメ加工を準備しておきます。
    たっぷりとタミヤセメントを付けて、むぎゅとしたら4.5日に硬化を待ちます。フィニッシングペーパーで400番→600番→1000番の順に磨き、最後にスポンジ研磨材で仕上げます。後ハメ加工を準備しておいたハイパー・バズーカを接着します。
  3. その他のパーツも組み立てを進め、パーツの合わせ目は臨機応変に段落ちモールドで対応します。

3.塗装

ガンダム

このキットはORIGIN版ガンダムのカラーバリエーションキットとも言えますが、薄い緑の機体色は旧キットを彷彿させ、胸部の青は微妙な色味が再現されています。
しかしながら、濃い緑や薄紫のパーツは全く評価出来ない色味で、映像で検証して塗装する必要があります。
脚部の一部基軸パーツはジャーマングレイとガンメタルを併用します。(→画像赤マル箇所がガンメタル)

  • 基軸パーツ(手・腕・脚部一部)、手、膝の一部、ランドセル、シールド接続パーツ・ビーム・ライフル→ジャーマングレイ
  • 基軸パーツ(足首)→ガンメタル

4.ディテールアップ

ガンダム

定番のディテールアップに加えて、Blu-rayで映像を確認して追加塗装を施します。
ツインアイはホイルシールよりも成型色のままのイエローの方が映像に近いと判断しました。また、腹部のVマークも付属のシールに頼らず、マスキングの上塗装します。

  • ブレードアンテナをシャープ化します。
  • ツインアイ周辺→フラットブラック(筆塗り)
  • 頭部ダクト・頭部バルカン中心→コピック マルチライナー<ブラック>0.03mm
  • 腹部Vマーク→サーフェイサー(ホワイト)+キャメルイエロー
  • 定番のスカート前部を分割します。
    (このキットはカットしても股間が緩くなることもありませんでしたので、真鍮線を通す必要はありませんでした。)
  • 腕部、脚部、足首関節の丸モールド、肩部・スカート部裏、アンクルガード裏、足裏→ジャーマングレイ(筆塗り)
  • バーニア外輪、脚部バーニア基軸パーツ→ガンメタル
  • バーニア内輪→アルミシルバー
  • ランドセルのバーニア内輪にゴールドで塗装したウェーブ「U・バーニア フラット【1】」3.0mmを接着して質感を高めます。

5.スミ入れ

ガンダム

すべてのパーツを組み立てずになるべく装甲の状態でスミ入れを行います。これはスミが基軸パーツに流れることによって起こるクラックを避けるためです。

  1. 「Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」を「Mr.ウェザリングカラー 専用うすめ液」でジャブジャブに薄めて、スミ入れします。うすめ液を使って綿棒で拭き取ったら、クラック防止のためにドライヤーで速乾させます。
  2. コピック マルチライナー<ブラック>0.03mmとシャーペンで補正します。
  3. 細心の注意を払ったつもりですが、ビーム・サーベルの持ち手にクラックが起きました。
    ランナーパテを作って、硬化後ヤスって補修しました。

6.組み立て2&マーキング

ガンダム

スミ入れが完了したら、すべてのパーツを組み上げます。

  1. HGにもかかわらず、可動範囲の性能が高いためか脚部の基軸パーツは複雑な構造で、装甲の組み付けになかなか苦労しました。したがって、脚部については塗装より先に組み立てを進めておきました。
    (付属武装のビーム・ライフル(前期型)、ショルダー・キャノンなど余剰パーツが大量に発生します。)
  2. 付属の水転写式デカールを貼り付けます。劇中の映像を検証して、過剰なRG風の赤いデカールやラインデカールは不使用とします。
    ホイルシールの箇所も筆塗りしたためにほぼ不使用となりました。

7.ウェザリング

ガンダム

ここからはジオラマ仕様にするために軽くウェザリングを施します。
完成目標のシーンはホワイトベースから出撃して間もない場面のため、シールド下部と下半身のみのウェザリングとします。寸止めを意識して汚し過ぎに注意します。

  1. タミヤ「ウェザリングマスターセットB、C」でシールド下部と足元を中心にブラウンの汚しを、背面バーニア周辺にブラックのすすを加えます。
  2. 「Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」を「Mr.ウェザリングカラー 専用うすめ液」で薄めて足元やエッジを中心に汚します。
  3. アクリルガッシュのバーントアンバーをくたびれた歯ブラシで叩いて泥の跳ね返りの不規則な汚れを表現します。
  4. 頭部ホイルシールを一部除外してGSIクレオス「Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹きます。
  5. 除外した頭部ホイルシールに加え、劇中の映像を参考に胸部左モールドにグリーンのジャンクホイルシールを貼り付けます。

8.仕上がり

ガンダム
  1. ガンダムの左足裏に1.0mmのピンバイスで穴を開け、針金を瞬間接着剤で接着してジオラマベースに取り付けます。
  2. 武装類を持たせて劇中の” ガンダムVSドアン専用ザク ”のシーンポーズを決めたら、いよいよ完成!

    ジオラマベースの製作過程はドアン専用ザクのページをご覧ください。

製作後記

ORIGIN版ザクは4種製作したにもかかわらずORIGIN版ガンダムはデザインがあまり好きになれずこれまで製作に至りませんでした。
今回映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」公開を機にドアン専用ザクとのジオラマ製作のために購入したわけですが、複雑な機構により可動範囲も良好で、HGながらもパーツの合わせ目消しが出にくい構造となっている良キットでした。
また、ククルス・ドアンの島版として成型色変更は基軸パーツや武装の色味は評価できませんが、緑がかったホワイトや胸部のブルーは缶スプレー派の私には再現困難な色味であり、満を持してこのキットを購入して良かったと感じています。
本作ではドアン専用ザクの引き立て役的な位置付けで製作しましたが、Photo Galleryの画像では映画館で絶対再現したいと思ったシーンを狙いどおり再現出来ました。特に岸壁からガンダムがドアン専用ザクを投げ捨てる場面はこれまで例のない美しいシーンです。

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