1/144 バンダイ HG MSN-06S-2 シナンジュ・スタイン(ナラティブVer.)

ゾルタン・アッカネン「失敗作だって見捨てられりゃ傷つくし、腹も立つんだよ」
2020.1 製作
お気に入りランク:★★★★☆  レア度:★★★☆☆

シナンジュ・スタインはUC計画の一環として開発され、ユニコーンガンダムの前身でもあるサイコフレームの実験機でもありました。地球連邦宇宙軍所属のクラップ級巡洋艦ウンカイで輸送中の2機が、強奪を装った袖付きに”譲渡”されたのです。
シナンジュ・スタインはフル・フロンタル専用のシナンジュに改装されなかった未改修の予備機で、各部に袖付き仕様のエングレービングがあり、ビーム・ライフルにはシナンジュと同型のバズーカやグレネードランチャーが装着されています。ちなみに”スタイン”の意味はドイツ語で石という意味があり、シナンジュの原石とも言えるのです。

パイロットはジオン共和国軍ゾルタン・アッカネン大尉で、かつてはフル・フロンタルとともにシャアの再来として開発された強化人間なのですが、周囲からは失敗作とされており、激しい怒りとコンプレックスを抱いたままフェネクス捕獲を目論むのです。

Photo Gallery


製作過程

HG史上最高峰の可動を実現したと言われるキットのシナンジュ・スタインは、「ユニコーンVer.」と「ナラティブVer.」があります。
2機を比較すると、カラーリングは落ち着いたホワイトの「ユニコーンVer.」に軍配が上がりますが、袖付きのエングレービングにモールドがあり、プロペラントタンクが長い「ナラティブVer.」の方がトータル的には上ではないでしょうか。
部分的にHGシナンジュのパーツが使われていますが、ほとんどは新規造形で再現された最新フォーマットになっています。各部にアレンジを加えつつ、新関節構造などが構築され、大迫力のシナンジュ専用バズーカはHGネオジオングからの流用といううれしいオマケです。
高価で飾る場所に困るⅡネオ・ジオングの購入意思がないために「機動戦士ガンダムNT」における敵役はシナンジュ・スタイン以外になく、製作へと至りました。
1.イメージ
機動戦士ガンダムNT
このキットもガンダムベース福岡で完成品を目にしましたが、ナラティブガンダム同様第一印象は色味が地味なために、艶消しと重量感を意識して製作したいと思います。
  1. ナラティブガンダムvsシナンジュ・スタインの印象的な対決シーンであるサイド6の18バンチ学園都市メーティスの高速道路上でのジオラマ作品を製作します。
  2. 2色の成型色のグレイはそのままに、ジャーマングレイやニュートラルグレイを追加して、グレイのバリエーションを楽しみたいと思います。
  3. 機軸パーツには茶褐色が採用されていますが、他のMSにも見ないこの配色は大いに疑問です。いつものガンメタルで塗装し、機体の重量感を加えます。
  4. 目立ち過ぎないように控えめなスミ入れを行います。
  5. ジャンクデカールを多用してRG風のマーキングを施します。
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2.組み立て1
機動戦士ガンダムNT

ゲート跡の除去とフィニッシングペーパーで丁寧に処理を行い、ウエットティッシュで拭き取ります。
頭部ヘルメットや武器類にはパーツの合わせ目消しが必要な箇所あります。

部品点数は思いのほか多く、さらに余剰パーツも多く、本家HGシナンジュからの流用パーツが目立ちます。この辺りは価格に反映されているのか大いに疑問です。

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3.塗装
機動戦士ガンダムNT
HGだけにイロプラ漏れが懸念されるために今回も事前の検証がポイントです。Blu-rayディスクで本編の画像を検証して取扱説明書に塗装箇所を書き込みます。
機体色のグレイは成型色を生かすことにしました。特に上半身のグレイパーツは珍しいグレイの濃度です。
  • バズーカ・ハイ・ビーム・ライフルのジャケットパーツ一部・ポリキャップ
    →ジャーマングレイ
  • 基軸パーツ・スカート両サイド内側・脚部ダクト・足裏・バーニア外側
    →ガンメタル
  • バックパック・足元のパーツ→レーシングブルー
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4.ディテールアップ
機動戦士ガンダムNT
  • スカートを分割し、可動範囲を拡大します。
  • バックパックバーニア内側、脚部ダクト周辺
    →サーフェイサー(ホワイト)+ブライトレッド
  • 頭部ヘルメット、肩パーツ、脚部一部の内側→フラットブラック
  • 頭部バルカン・頭部周辺パイプ・脚部各シリンダー・脚部バーニア内側・足裏バーニア・シールド裏の一部→シルバーリーフ
  • 装甲のリベット→ガンメタル
  • 袖付きのエングレービング→サーフェイサー(ホワイト)+フラットブラック
  • バズーカ砲身とプロペラントタンクはパーツの合わせ目を消しのために接着剤をたっぷり付けて乾燥後、サーフェイサー(グレイ)で下地を整えます。さらにニュートラルグレイを吹いて色味を変えます。
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5.組み立て2
機動戦士ガンダムNT

塗装が完了したら、再び組み立てを開始しますが、パーツのはめ込みがきつく、破損する事態が発生しました。組み立て作業になかなか苦戦しました。
組み立てを進めていくとパイプ系やジャケットパーツなど、ディテールアップの追加塗装の必要箇所がいくつか見つかります。
頭部を組み立てるとツインアイの視認性が悪いことが判明したため、開口部を削ります。

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6.スミ入れ&マーキング
機動戦士ガンダムNT
  1. レーシングブルーのパーツは「マックスファクトリー コピックモデラー [0.02 ブラック スミ入れ用]」で、グレイ系のパーツはシャーペンで目立ち過ぎないように控えめにスミ入れを行います。
  2. 「1/144 HGシナンジュ」の水転写デカールを貼り付けます。
  3. 新商品の「GSIクレオス Mr.スーパースムースクリアー つや消しスプレー」を吹いて水転写デカールをコーティングします。
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7.ジオラマベース1
機動戦士ガンダムNT
  1. ジオラマベースはベースの"反り"を防げるMDF(木質繊維を原料とする成型板、中密度繊維板28.5㎝×28.5㎝)を使用します。
  2. 100円ショップで購入したペン立て(トップコンテナNo.1/セリア)を一部削って玄関を作り、サーフェイサー(ホワイト)を吹いて、内側から透明ブラバン(ブルー)を窓として貼り付けてビルを作ります。
  3. タミヤ スチレンボード(5mm厚)で道路の路肩やビルの屋上、玄関を作ります。
  4. 高速道路の中央分離帯・路肩・外壁はアーチストパネル(7mm厚)で作ります。
  5. 高速道路の橋げたは100円ショップの発泡スチロールのブロックを加工して作ります。
  6. 下地塗装は全体をサーフェイサー(グレイ)を吹きます。高速道路の路面はジャーマングレイ、中央分離帯・路肩・外壁等はサーフェイサー(ホワイト)、橋げたはライトグレイを吹きます。乾燥後、シャーペンでコンクリートのつなぎ目を描きます。
  7. スチレンボードはスチのりと両面テープを使い分けて接着します。
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8.ジオラマベース2
機動戦士ガンダムNT
  1. 道路の白線として水転写デカールを貼り付けます。
  2. 橋げた周辺をマットブラックで軽く吹き、路面は黒のパステルを筆で擦り付け、汚れを描きます。
  3. 「Mr.スーパークリアーつや消し」を全体に吹きます。
  4. 橋げた周辺に光栄堂「グランドマットGM-1(春の緑)」を芝として貼り付け、イエローの花を筆塗りで描きます。
  5. 鉄道模型用の柵を歩道や花壇に、歩道はフォーリッジクラスターの木を設置します。
  6. 街路灯は「タミヤ1/35 道標セット」を活用します。電灯部分はビームサーベルのクリアーイエローのパーツを加工して取り付けます。
  7. トミーテック「情景コレクション ザ・人間 」のフィギュアを配置します。雨の情景を演出するためにHIQ PARTSのモノアイと真鍮線で傘を作りました。
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9.仕上がり
機動戦士ガンダムNT
  1. タミヤの恐竜シリーズに付属するネームプレートに”ANAHEIM ELECTRONICS”のロゴを光沢紙に印刷して貼り付け、ビルの看板とします。
  2. ナラティブガンダムはアクションベース5に取り付けます。「有線式遠隔攻撃端末」は本来アクションベース5に取り付けるためのクリアパーツが付属してますが、これでは距離が取れないために「HG  YAMS-132 ローゼン・ズール (episode 7 Ver.)」のサイコ・ジャマー用のクリアースタンドにジャンクパーツを取り付けて流用します。
  3. シナンジュ・スタインはジャンクのディスプレイベースに取り付けます。
  4. HOBBY BASEのモデルカバースクエア(特大)にジオラマベースを乗せます。
  5. ふたをしたら、いよいよ完成!
製作後記

いや~久しぶりに大失敗をしました。肩パーツの内側をなぜかエナメル塗料のフラットブラックで筆塗りし、はみ出た塗料をエナメル溶剤で拭き取ったところ、時間が経つとクラックが発生したのです。他にもスミ入れのはみ出しの拭き取りにエナメル溶剤を使用したために、さらに被害が拡大しました。結果的に2つ目のキットを購入し、パーツを補うという事態に陥り、高コストな作品になってしまいました。
しかしながら、時間とコストを掛けただけに納得のいく大規模なジオラマ作品になりました。
シナンジュ・スタイン本体は袖付きのエングレービングをシールから塗装にするなど定番のディテールアップに加え、4色のグレイを配色してブライトレッドや機体内側のフラットブラックの追加塗装を行い、RG風のマーキングでHGの安っぽさを打ち消すことが出来ました。薄いグレイの機体色に白のデカールはあまり目立ちませんが、よく見ると細かい密度が感じられる演出になりました。フル・フロンタルのシナンジュとは対照的な艶消し塗装で、兄弟機とは異なる新たな魅力を引き出してくれました。
ジオラマベースにも長い時間を掛け、手作り感満載の立体感ある舞台を作り上げました。映像をしっかり検証し、かなり実際の場面に近づけたと自負していますが、クリアーパーツとは言え、スタンドパーツ4体のゴミゴミ感は否めませんね。

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