1/144 バンダイ HG MSK-008 ディジェ(ナラティブVer.)

ヨナ・バシュタ「 嘘つき・・・」
2019.6 製作
お気に入りランク:★★★★★  レア度:★★★★★
ディジェはもともとグリプス戦役時エゥーゴのリック・ディアスをベースにカラバが開発し、アムロ・レイ大尉が搭乗していました。
映画「機動戦士ガンダムNT」ではルオ商会が運用し、改良した百式用ビーム・ライフルにジェガンやリゼルと共通規格のEパックを使用する形状に変更し、隊長機のみ左肩にサーチライトを装備したMSとなっています。
劇中終盤にナラティブガンダム→フェネクスと乗り継ぐ主人公のヨナ・バシュタが、序盤にアナハイム・エレクトロニクス社のマーサ・ビスト・カーバインを襲撃する作戦でディジェに搭乗しています。
実戦初のヨナは、襲撃の首謀者であるミシェル・ルオをコックピットに同乗させた隊長機とルオ商会の私設軍隊として雇われた傭兵たちとともにこの作戦を実行しました。

Photo Gallery


製作過程

「機動戦士Zガンダム」に登場するディジェは2018年12月最新フォーマットの1/144スケールで発売されましたが、カエルのような緑の機体色に違和感を感じ、購入をためらっていました。しかしながら、「機動戦士ガンダムNT」を劇場で見た際、ディジェのカッコよさに衝撃を受け、即座に劇中シーンのジオラマ再現を決意しました。
設計は旧ジオン系の技術者が担当しているだけにゲルググを思わせるフェイスに、ドムのような重量感ある胴体は私にとってどストライクのMSなのですが、機体色がかえるのような緑から夜間迷彩塗装をイメージしたダークグレーに変更されたことによってイメージが格段に向上しました。
サブ的な役割のMSにもかかわらず、劇場での上映終了から早い段階でプレミアムバンダイでの発売が決定し、バンダイの自信も期待値も高いキットと言えそうです。
1.イメージ
機動戦士ガンダムNT
劇中では4機のディジェが登場しますが、今回はミシェルが手のひらに乗るサーチライト付きの隊長機と傭兵機の2機を製作します。
  1. HGにしてはイロプラが細かく配色され、かつ成型色の色味も秀逸なため、今回塗装は極力イロプラを生かし、細部の筆塗りに留め、つや消しによって質感を高めます。
  2. スミ入れはブラックとグレーをうまく強弱をつけて塗り分けます。
  3. スクレイピング技法は避け、軽いチッピング程度のウエザリング塗装で仕上げます。
  4. ジャンクデカールを多用してRG風のマーキングを施します。
  5. 強襲を再現した移送車輛とマーサ、ミシェルのフィギュアを製作し、北米のコロラド山岳地帯の襲撃現場を再現します。
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2.塗装
機動戦士ガンダムNT
今回は事前の検証がポイントです。取扱説明書をしっかり読み込み、Blu-rayディスクで本編の画像やネット上の作例を検証して、塗装箇所をチェックします。
イロプラ漏れもいくつか見つかり、クレイ・バズーカなど不要パーツも多数あります。
  • ポリキャップ→ジャーマングレイ
  • 手・足裏・・バックパックと脚部のダクト内側・ビーム・ライフル先端・サーチライト
    →ガンメタル
  • バーニア内側→ライトブルー、バーニア外側→ガンメタル
  • ビーム・ライフル、モノアイ周辺→マットブラック
  • ビーム・ライフルの動力パイプ→ライトブルー
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3.組み立て
機動戦士ガンダムNT

ゲート跡の除去とフィニッシングペーパーで丁寧に処理を行い、ウエットティッシュで拭き取ります。

ただしビーム・ライフルはパーツの合わせ目消しが必要なため、しっかり接着剤を付け、ペーパー掛け後、サーフェイサーを吹いて塗装します。
最近はRGが続いていたので、2機製作とはいえストレスを感じずにサクサク組み立てられると思いきや、最新の技術によって複雑な構造となっており、なかなか手こずりました。動力パイプはゴム質素材となっていて、HGにしては珍しい可動力を向上させる新しいチャレンジだと感じました。

また、工程中、足の一部にシールが必要になりますが、ここは塗装することなくそのまま貼っても問題ない質感です。まずは1機を組み立て、また1機を組み立てます。

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4.ディテールアップ
機動戦士ガンダムNT

今回はイロプラの成型色を生かすために塗料の手間とコストは削減できますが、それでも細かい箇所で筆塗りが必要だったり、気になるポイントがいくつも見つかります。

  • 頭頂部のツノをシャープ化します。
  • モノアイ周辺はゼータVer.のツインアイ型はなく、シールとモールドで造形されています。モノアイの起伏を削り落としてHIQ PARTSのルミドーム(蛍光ピンク)2.0mmを貼ります。付属シールには十字が入っていますが、映像にないため無視します。
  • ゼータVer.ではシールドのモールドをシールで色分けするようになっていますが、ナラティブVer.にシールはなく、ブラックに塗り分けます。
  • 隊長機のサーチライトはシャッターが開いた状態と選択式にするため、2機の内一方の内部をくり抜いてプラ板でブラインドを作り、裏面にはホイルシールを貼り付け、ガンメタルで塗装します。
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5.スミ入れ&マーキング
機動戦士ガンダムNT

今回は成型色を生かして機体のほとんどを塗装しない分、質感にこだわって仕上げたいと思います。

  1. 濃い機体色のパーツや頭部・胸部のダクト内側は「マックスファクトリー コピックモデラー [0.02 ブラック スミ入れ用]」で、薄い機体色のパーツは「ガンダムマーカースミいれ用<グレー>」でスミ入れを行い、シンナーで拭き取ります。
  2. 手持ちのジャンクのリアリスティックデカールを貼り付け、RG風の密度とMSの巨大感を強調します。
  3. つや消しの質感をより強調できる「GSIクレオス Mr.トップコート水性プレミアムトップコートつや消しスプレー」を吹きます。
  4. 最後にモノアイを接着し、付属のグリーンのホイルシールを貼ったら、完成です。
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6.ウエザリング
機動戦士ガンダムNT

ここで作業を一時停止し、ウエザリング前の機体でGallery用の撮影をします。

 

スミ入れ→マーキング→つや消しと進めると質感が向上してウエザリングがもったいない気もしますが、さらなるリアリティーを追求するために激しい空中戦と雪の中での地上戦をイメージしてジオラマ仕様に仕上げます。

  1. 足元は跳ね上げた土や雪をイメージして、レッドブラウンとフラットホワイトで汚します。
  2. 上半身はシルバーリーフで戦闘による傷をイメージして、やり過ぎない程度のドライブラシをエッジを中心に掛けます。
  3. ジオラマベースに設置するために2機のMSと移送車輛にピンバイスで穴を空け、真鍮線を瞬間接着剤で固定します。
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7.アクセサリー
機動戦士ガンダムNT

マーサ襲撃シーンの再現とMSの巨大感を演出するため、映像をしっかり検証してアクセサリーを自作します。

  1. 隊長機のコクピットに同乗していたミシェル・ルオを女性のジャンクフィギュアで製作します。右手に拡声器のマイク、左手にはヘルメットを持たせます。
  2. マーサ・ビスト・カーバインも女性のジャンクフィギュアで製作します。
  3. 横転した移送車輛をジャンクミニカーをベースにジャンクパーツで製作します。
    ヘッドライトにウェーブ オプションシステム「H・アイズ」のクリアーピンクを、窓はクリアーブルーにホイルシールを貼ったものを取り付けます。
  4. 移送車輛は横転したことを前提に上記同様の汚しを加えます。
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8.ジオラマベース1
機動戦士ガンダムNT
  1. ジオラマベースは下から100円ショップで購入したフォトフレーム(24.2㎝×27.2㎝)→粘着パネル→発泡スチロールの順で両面テープで組み上げます。
  2. 発泡スチロールは地面や崖の起伏を作り、MSや横転した移送車輛の跡を付けます。
  3. ジオラマベースサイドをマットブラックで塗装します。
  4. 乾燥後、ベースサイドをマスキングし、作業に備えます。
  5. 木工用ボンドを霧吹きし、壁用補修材を蒔いて硬化を待ちます。
  6. フラットブラックやライトサンドを吹いて、影や地面を塗装します。
  7. 鉄道模型用のパウダーで草や砂を蒔いて、木工用ボンドを霧吹きして固定します。
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9.ジオラマベース2
機動戦士ガンダムNT
  1. モーリン社製の「スノーパウダーNo.512(市街地の雪)」を木工用ボンドを使った霧吹きと茶こしで雪の表現をします。
  2. 仕上げにマニキュア用のラメパウダーを同様に蒔いてキラキラ感を出します。
  3. マスキングを外します。
  4. ベースの立体部分を黒色の色画用紙を貼って、見た目を整えます。
  5. フォトフレームにベースをはめ込んだら完成です。
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10.仕上がり
機動戦士ガンダムNT
  1. ジオラマベースに2機のディジェと移送車輛をあらかじめ接着しておいた真鍮線で固定します。移送車輛は横転の衝撃による煙を表現するためにマットブラックを吹いた手芸用わたをエフェクトパーツとして配置します。
  2. マーサ・ビスト・カーバインのフィギュアを移送車輛の前に木工用ボンドで接着します。
  3. ミシェル・ルオのフィギュアは隊長機のディジェの右手に瞬間接着剤で固定します。
    しかし、付属の右手パーツでは手のひらを広げたものはないためにジャンクパーツを加工して製作します。
  4. HOBBY BASEのモデルカバースクエア(特大)にジオラマベースを乗せます。
  5. ふたをしたら、いよいよ完成!
製作後記

ゲルググを思わせるフェイスにドムのような重量感あるディジェは、このナラティブVer.の夜間迷彩をイメージしたダークグレーの成形色がベストです。イロプラを生かしたつや消しも狙いどおりで、RG風のマーキングもMSの巨大感と緻密さを強調出来ました。ただ、完成してみるとプロポーションがイマイチなのです。HGとは言え、全体的にサイズが小さく、足が短く、頭が大きいのです。

また、今回アクセサリーとジオラマベースの考証にはBlu-rayディスクで何度も映像を確認し、かなりの時間を掛けました。

フィギュアはほぼ実写のフォルムに近づけ、移送車輛は実写とは異なるデザインですが、1/144スケールに合わせた重量感ある装甲と扉でオリジナルの車輛としました。

ジオラマベースは予算を抑えるために極力手持ちの素材で製作しながらも、雪が積もり始まる前の北米のコロラド山岳地帯の襲撃現場を再現しました。スノーパウダーは控えめにし、ラメパウダーのキラキラが雪の情景に動きをもたらしてくれました。今回ベースを先に両面テープで固定し、メインの崖を高くしたため、懸念していた”ベースの反り”を避けることが出来ました。フォトフレームにはめ込んだこともジオラマの完成度を高めてくれました。

同時期にROBOT魂のディジェの発売も発表され、当初どちらを購入するか迷いましたが、2機製作でジオラマ、そしてRG風のマーキングにすることによって、HGで正解だったと確信出来ました。

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